コラム

食品添加物の危険性とは?日本の制度と知っておきたいリスク・注意点

食品添加物について、「日本は世界一、使用が認められている品目数が多い」と聞いたことはありませんか。インターネット上では「日本は450品目、フランスやイギリスは20〜40品目」といった比較も見られます。

しかし、国によって食品添加物の定義や分類、数え方が異なるため、品目数だけで日本の食品が危険だと判断することはできません。農薬についても「日本は世界3位」といった情報がありますが、国連食糧農業機関(FAO)の2022年のデータでは、日本の使用量は総量で世界16位、農地面積あたりでは27位とされています。

大切なのは、品目数だけで判断するのではなく、どのような添加物が使われ、どの程度摂取すると健康に影響する可能性があるのかを理解することです。

この記事では、日本の食品添加物の制度を整理し、トランス脂肪酸、人工甘味料、亜硝酸ナトリウム、リン酸塩などのリスクと、日常の食生活でできる工夫を解説します。

【参考文献】日本ファクトチェックセンター

食品添加物とは?日本は本当に「添加物大国」なのか

諸外国と比べて日本の添加物使用数はどのくらい多いのか

食品添加物とは、食品の製造・加工・保存などの目的で使用される物質です。日本では、食品添加物は主に次の4つに分類されています。

  • 指定添加物:安全性を評価したうえで、使用が認められた添加物
  • 既存添加物:長い食経験などを背景に、例外的に使用が認められている添加物
  • 天然香料:植物や動物などに由来する香りの成分
  • 一般飲食物添加物:通常は食品として食べられるものを、添加物として使用するもの

厚生労働省によると、2024年3月時点の指定添加物は476品目、既存添加物は357品目で、これらに天然香料や一般飲食物添加物などを含めると、2022年時点で831品目とされています。

一方、「日本は450品目、海外は数十品目しかない」という比較は、食品安全委員会も誤りとして紹介している情報です。国によって、香料や酵素、果汁、お茶などを添加物として数えるかどうかが異なるため、単純な比較はできません。例えば、日本では一つにまとめて数える物質が、アメリカでは個別に分類され、複数の品目として数えられる場合があります。厚生労働省によれば、アメリカの添加物数は香料を除いて約1,600品目とされ、果汁や茶など、日本では添加物に分類されないものも含まれています。

つまり、品目数の違いだけで、日本が特別に添加物を多く使用しているとは判断できません。

【参考文献】厚生労働省「食品添加物 よくある質問」 厚生労働省「食品添加物の安全確保」 食品安全委員会「添加物に関する質問」 農林水産省「日本と海外の食品添加物規制の違い」

危険性が高いとされる食品添加物にはどんな種類があるのか

食品添加物のリスクを考える際は、品目数よりも、物質ごとの性質や摂取量に注目することが重要です。よく話題になるものには、マーガリンやショートニングなどに関連するトランス脂肪酸、ゼロカロリー飲料などに使用される人工甘味料、ハムやソーセージの発色に使われる亜硝酸ナトリウム、加工食品に使用されるリン酸塩などがあります。これらはそれぞれ性質や用途が異なり、健康への影響も一律ではありません。安全性は、科学的な評価や使用基準などに基づいて管理されています。

なお、それぞれの添加物について詳細は以下の記事でご紹介しています。

【記事:人工甘味料を摂り続けても大丈夫?知っておきたい最新エビデンス】

【記事:肉の食べ過ぎは危険?WHOも指摘するがん・糖尿病リスクとマクガバン報告の真実】

リン酸塩は具体的にどんな添加物として使われているのか

リン酸塩は、ハムやソーセージ、練り製品などに使われ、食品の結着性や食感を調整する役割を担っています。

過剰摂取はカルシウムの吸収などに影響する可能性が指摘されていますが、食品添加物としての使用には基準が設けられています。加工食品を頻繁に食べる方は、特定の食品に偏らず、食事全体のバランスを意識するとよいでしょう。

トランス脂肪酸はなぜ危険?マーガリンやショートニングに潜むリスク

心筋梗塞や肥満のリスクを高める仕組みとは

トランス脂肪酸は、脂肪酸の一種です。植物油などを加工する過程で生じるものがあり、マーガリンやショートニングなどに含まれています。世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう推奨しています。摂り過ぎると、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患のリスクが高まることが指摘されています。

一方、日本人の平均的な摂取量は、総エネルギー摂取量の約0.3%と推定されています。食品安全委員会は、日本人の大多数がWHOの目標値を下回っており、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えています。ただし、脂質の多い洋菓子やスナック菓子、揚げ物などを頻繁に食べる場合は、食事全体の脂質バランスにも注意が必要です。

トランス脂肪酸については、【記事:トランス脂肪酸はなぜ危険?世界で規制が進むのに日本で緩い理由】もご覧ください。

【参考文献】農林水産省「すぐにわかるトランス脂肪酸」

気づかず口にしやすい加工食品にはどんなものがあるか

トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングだけでなく、それらを原材料に使用したパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子や、フライドポテトなどにも含まれる場合があります。日本では、トランス脂肪酸の含有量について表示義務や濃度基準は設けられていません。そのため、特定の食品を一律に避けるよりも、脂質の多い加工食品に偏らない食生活を心がけることが大切です。

「糖質ゼロ」「脂質ゼロ」の落とし穴とは?人工甘味料のリスク

人工甘味料にはどんな危険性が指摘されているのか

「糖質ゼロ」や「ゼロカロリー」と表示された飲料には、砂糖の代わりにアスパルテームやスクラロースなどの人工甘味料が使われている場合があります。人工甘味料については、腸内環境への影響などを調べた研究が報告されています。ただし、健康への影響は甘味料の種類や摂取量によって異なり、研究結果を一律に当てはめることはできません。

日本で使用が認められている人工甘味料は、安全性が評価されており、多くの物質ではADI(許容一日摂取量)が設定されています。ADIとは、生涯にわたって毎日摂取しても健康への悪影響がないと考えられる一日あたりの摂取量です。

例えば、アスパルテームについては、厚生労働科学研究による推計で、日本人の一人あたりの一日摂取量はADIの約0.3%とされています。低カロリーだから無条件に健康によいとは限りませんが、通常の摂取量を踏まえてリスクを判断することが大切です。

【参考文献】食品安全委員会「アスパルテームに関するQ&A」

カロリーが低ければ体に良いといえるのか

ゼロカロリーや低カロリーの飲料は、砂糖の摂取量を減らしたい場合の選択肢になります。しかし、人工甘味料を含む飲料だけに頼るのではなく、水やお茶なども活用し、飲料の種類に偏りが生じないようにしましょう。食品を選ぶ際は、糖質や脂質の量だけでなく、原材料表示全体を確認し、食生活全体のバランスを考えることが重要です。

アスパルテームに発がん性はあるのか

2023年7月、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は、アスパルテームを「グループ2B(発がん性がある可能性がある)」に分類しました。一方、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は同時期の評価で、アスパルテームの摂取が人に有害な影響を与えるという確かな証拠はないとし、ADIの0〜40mg/kg体重/日を変更する必要はないと結論づけています。IARCの分類は、発がん性を示す証拠の確かさに基づくもので、実際にどの程度のリスクがあるかを直接示すものではありません。

そのため、分類だけを見て危険性を判断するのではなく、摂取量やほかの評価結果も踏まえて考える必要があります。

「無着色」でも油断できない?亜硝酸ナトリウムの正体

発色剤としての役割と「無着色」表示の仕組みとは

ハムやソーセージ、いくら、明太子などの色を保つために使われる食品添加物の一つが、亜硝酸ナトリウムです。亜硝酸ナトリウムは、食品に新たな色を加える「着色料」ではなく、食品本来の色を安定させる「発色剤」として使用されます。そのため、着色料を使用していないことを示す「無着色」表示の商品にも、発色剤が使われている場合があります。また、亜硝酸ナトリウムには、ボツリヌス菌などの増殖を抑え、食中毒のリスクを低減する役割もあります。

【参考文献】農林水産省「食品中の硝酸塩に関する基礎情報」

亜硝酸ナトリウムにはどんな危険性が指摘されているのか

亜硝酸ナトリウムについては、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が発がん性を評価しており、ヒトの摂取と発がんリスクの関連を示す証拠はないと結論づけています。日本では、食肉製品に使用する亜硝酸ナトリウムの量に上限が設けられ、食品中の残存量も基準に基づいて管理されています。

なお、硝酸塩や亜硝酸塩は野菜などにも自然に含まれています。食品添加物としての使用だけに注目するのではなく、食品全体からの摂取量や、使用目的を踏まえて考えることが重要です。

食品添加物と上手に付き合うためにできること

外食やコンビニ食品を減らす以外にできる工夫とは

食品添加物には、食品の保存性を高めたり、食中毒を防いだりする役割もあります。一方、加工食品に偏った食生活では、さまざまな添加物を摂取する機会が増える可能性があります。

日常生活では、次のような工夫が取り入れやすいでしょう。

  • 外食やコンビニ食品だけに頼らず、自宅で調理する機会を増やす。
  • 野菜、豆類、魚、穀類など、さまざまな食品を組み合わせる。
  • 加工食品を購入するときは、原材料表示を確認する。
  • 特定の食品ばかりを食べ続けず、食事全体のバランスを意識する。

子どもは体重あたりの飲食量が大人より多くなる場合があるため、食品の種類や食べる量にも配慮しましょう。

無添加・オーガニック食品を選ぶときのポイント

近年は「無添加」や「オーガニック」をうたう食品も増えています。しかし、こうした表示だけで安全性が高いと判断することはできません。食品の安全性は、天然由来か合成由来かだけで決まるものではなく、物質の性質や使用量、摂取量などを踏まえて評価されます。手作りの料理を増やして原材料を把握しやすくすることは、食生活を見直す方法の一つです。加工食品を選ぶ場合も、「無添加」という表示だけで判断せず、原材料や栄養成分表示を確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

食品添加物は少量なら摂取しても問題ないのですか?

食品添加物には、科学的な安全性評価に基づいてADIなどの基準が設定されているものがあります。ただし、すべての添加物に同じ基準が適用されるわけではありません。特定の食品に偏らず、バランスのよい食生活を心がけましょう。

リン酸塩を含む食品添加物にはどんな危険性がありますか?

リン酸塩は、ハムやソーセージ、練り製品などに使用されます。過剰摂取はカルシウムの吸収などに影響する可能性が指摘されています。加工食品ばかりに偏らないようにし、食事全体のバランスを意識することが大切です。

天然由来の添加物なら安全といえますか?

天然由来だからといって、必ずしも安全性が高いとは限りません。安全性は、物質の性質や使用量、摂取量などに基づいて評価されます。「天然」「無添加」という表示だけで判断せず、原材料表示全体を確認しましょう。

子どもは食品添加物の影響を受けやすいですか?

子どもは体重あたりの飲食量が大人より多くなる場合があるため、摂取量への配慮が必要です。食品添加物の使用基準は安全性評価に基づいて定められていますが、加工食品だけに偏らず、さまざまな食品を組み合わせた食事を心がけましょう。

まとめ:食品添加物を正しく知り、自分で選ぶ力を身につけよう

食品添加物について考える際は、品目数やイメージだけで危険性を判断せず、物質ごとの性質や使用目的、摂取量を理解することが大切です。

  • 「日本は450品目、海外は数十品目」という比較は、国ごとに定義や分類方法が異なるため、単純には比較できない。
  • トランス脂肪酸は、摂り過ぎると心血管疾患のリスクを高める可能性があるが、日本人の平均的な摂取量はWHOの目標値を下回っている。
  • アスパルテームはIARCでグループ2Bに分類された一方、JECFAはADIを変更する必要はないと評価している。
  • 亜硝酸ナトリウムには発色や細菌の増殖を抑える役割があり、使用量には基準が設けられている。
  • 食品添加物の表示だけで安全性を判断せず、加工食品に偏らない食生活を心がけることが重要。

食品添加物は、保存性や品質の維持、安全性の確保などに役立つ一方、物質ごとに性質や注意点が異なります。必要以上に恐れるのではなく、科学的な情報をもとに食品を選び、日々の食事全体のバランスを整えていきましょう。

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