猛烈な夏の暑さも終わり、さわやかな季節となりました。秋は釣瓶落とし、日暮れが早くなってきましたね。朝晩が涼しくなってくると大気の乾燥も強まり、喉や鼻の粘膜、皮膚表面は敏感になります。夏の暑いあいだに開いていた毛穴が閉じて、喉や鼻に負担が掛かるのです。不調が現れやすいこの時季は、秋の果物に助けてもらいましょう。

秋の果物は美容食ぞろい
さわやかな空気は湿気が少なく快適ですが、半面に毛髪や肌の乾燥を招いてしまいます。漢方では「五果」といって、いろいろな果物を主食の補助として利用します。美容の面からも、秋は体に潤いをもたらす食べ物を意識的に摂ることをおすすめします。

【ぶどう】(甘・平)
ぶどうは中央アジア原産で、古典『神農本草経』には生命を養う養生薬、体を軽くして元気を増すと記載されています。
【柿】(甘・寒)
干し柿はぶどうよりもはるかに栄養価が高く、胃腸を温めます。生は対照的に寒の性質で、過食すると体が冷え症になるので長生きの薬にはなりません。適度に食べれば胃腸の熱を除き、健胃、整腸の働きをして下痢を止め、舌のただれを治しニキビもなくします。酒毒を消すので二日酔いにもおすすめです。

【梨】(甘・微酸味・寒)
ザラザラした舌触りは石細胞によるもので、これが便秘解消に効くといわれています。また梨にはたんぱく質分解酵素があり、肉などの消化を助けるので、韓国では肉料理には必ず梨を利用するといいます。繊維質の少ない肉料理の後のデザートには梨を添えましょう。
【りんご】(酸・温)
りんごの赤い皮に含まれるアントシアニンは抗酸化作用があります。ほかにも、腸の善玉菌を増やし下痢や便秘を改善、コレステロール値の上昇を抑えるので動脈硬化の予防にも役立ちます。

果物はビタミンが多いからといって食べすぎはよくありません。とくに虚弱で皮膚の弱い人は果物を食べ過ぎないように注意しましょう。反対に、熱症タイプの人は果物を多く摂ることが必要です。季節によって体質が変わる方も多いと思います。旬の食べ物の助けをかりながら、自身の体と上手に付き合っていきましょう。
「東京薬膳研究所」代表。食養・薬膳研究家。1970年代より成人病と食生活の臨床研究に従事し、1986年に渡中。本場中国(四川省)にて高名な薬膳師に師事し、薬膳理論と料理技術を学ぶ。帰国後は日本の気候風土や伝統的な和食文化に合わせた独自の「和食薬膳」を提唱し、長年にわたりその第一人者として日本の薬膳界を牽引する。 『食は薬なり』の教えを広めるため、これまでに数多くのカルチャーセンターでの講師や全国各地での講演活動を行い、後進の育成や薬膳の普及に尽力。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)など多数。

