草木の若芽が勢いよく伸びる様子を表す「芽張る(めばる)」に、春の語源があると言われています。
せり、つくし、菜の花、うど、たけのこなど、春の野菜や山菜にはそれぞれ特有の苦味(アク)が存在します。アクは素材の大切な「持ち味」の一つ。強すぎると味わいを損ねてしまいますが、上手にアク抜きをすることで、旨味へと変えることができます。
わらびは木灰や重曹を振りかけて熱湯を注ぎ、ふきは塩や灰を加えた熱湯で茹で、うどは分厚く皮をむいて酢水にさらす――。それぞれの食材に合わせた方法でアクを程よく抜き、春の幸を美味しくいただきましょう。
目次
からだをシャキッと整える!春を代表する苦味食材4選
春に採れる苦味の食材には、冬の間に溜め込んだからだの巡りを整え、健やかさをサポートする働きが詰まっています。
1 つくし(土筆)〜食物繊維とミネラルが豊富な春の贈り物〜

つくしだれの子、すぎなの子♪…と童謡でも馴染み深い「つくし」は、春の摘み草の代表格です。
節々にある固い「ハカマ」を丁寧に取り除き、さっと茹でて和え物や卵とじ、油炒めにすると美味しく味わえます。ミネラルや食物繊維が豊富に含まれており、お腹のスッキリ感や美肌づくり、巡りを良くしてむくみ予防にも役立つ食材です。
2 菜の花〜春の熱をやわらげる爽やかな緑〜

一面に広がる黄金色の菜の花畑は、春爛漫の訪れを感じさせてくれます。
東洋医学において菜の花は、春先にこもりやすい体内の余分な熱をやわらげ、めぐりをスムーズにして健やかな環境を保つ食材とされています。
3 せり(芹)〜香りで胃腸を整える春の七草の筆頭〜

春の七草の筆頭としても知られる「せり」。爽やかで特有の香りは、早春の息吹を感じさせてくれます。
せりには胃腸の働きをやさしく整え、すっきり感をサポートする働きがあります。また、巡りを助ける葉酸や鉄分も含んでいるため、日常の健康維持にぴったりです。
4 うど(独活)〜独自の香りと歯ごたえを楽しむ〜

中国の古書に「風がなくても独り揺らぐように見える」と記されたことから「独活」の名がついたと言われています。
山野に自生する「山うど」は香りや旨味が際立つ一方、アクやクセも強め。一方で人工的に栽培された「うど」は、冬〜春にかけて出回り、上品な味わいを楽しめます。若芽や茎のシャキシャキとした食感が魅力です。
【春の旬レシピ4選】素材の持ち味を活かした絶品おかず
手軽にできて、春の香りを存分に楽しめるおすすめレシピをご紹介します。
つくしの卵とじ

①つくし300gははかまをとってよく洗う。
②フライパンに砂糖大さじ3、しょうゆ大さじ3、水大さじ1、①のつくしを入れて火にかける。
③つくしがしんなりして水気がなくなってきたら溶き卵4個分を加え、好みで卵に火を通して完成。
菜の花ちらし

①米4カップは炊く1時間前に研いで水加減をし、炊飯する直前に昆布1枚を入れて炊く。
②小鍋に酢100ml、砂糖と塩各大さじ1、白煎りごま大さじ5を入れて火にかけ、合わせ酢をつくる。砂糖が溶けたら冷ましておく。
③酢水で湿らせた布巾で飯台を拭いて、①で炊いたご飯をあけて合わせ酢をまわしかけ、一気に全体を混ぜる。
④酢飯が人肌くらいになったら、ちりめんじゃこ2/3カップを振りかけ、さっと茹でて水にとり冷ました菜の花を加えてざっくり混ぜ合わせる。好みで錦糸卵をのせて完成。
せりのみそよごし
①せり100gは熱湯にさっとくぐらせて水にとり、水気をしっかりきって細かく刻む。
②鍋にごま油適量を入れて、①のせりと味噌大さじ1、砂糖大さじ1、刻みごま適量、みりん少々を入れてよく和え、水気がなくなるまでよく炒って完成。
うどのきんぴら

①うど100gは皮をスポンジの背の固い部分でよくこすって柔らかくする。
②うどを3~5cmの長さに切り、縦二つか四つ割りにし、酢水に入れて10分程さらし、水気を切る。
③にんじん15gは細切り、油揚げ1/2枚縦半分に切って細切りにする。
④フライパンに油を入れ、塩少々をふって強火でうど、にんじん、油揚げを炒める。
⑤1~2分炒めて火が通ったら、酒とみりん、しょうゆ、塩各少々で味をつけて1分程度炒めて完成。お好みで七味唐辛子をいれても美味しい。
まとめ:春の味覚で心とからだに「芽吹き」を届けよう
春の山菜や野草が持つ「苦味」は、冬から春へと身体が切り替わる季節にうれしい自然の恵みです。
丁寧なアク抜きで旨味を引き出し、旬の味わいを食卓に取り入れて、身体の内側からフレッシュな元気をチャージしていきましょう。
※本記事は日常の食事や生活習慣を楽しむための健康情報です。体調不調が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関を受診してください。
「東京薬膳研究所」代表。食養・薬膳研究家。1970年代より成人病と食生活の臨床研究に従事し、1986年に渡中。本場中国(四川省)にて高名な薬膳師に師事し、薬膳理論と料理技術を学ぶ。帰国後は日本の気候風土や伝統的な和食文化に合わせた独自の「和食薬膳」を提唱し、長年にわたりその第一人者として日本の薬膳界を牽引する。 『食は薬なり』の教えを広めるため、これまでに数多くのカルチャーセンターでの講師や全国各地での講演活動を行い、後進の育成や薬膳の普及に尽力。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)など多数。

