コラム

サプリメントの危険性とは?長期使用で注意したい副作用とリスク

ビタミンなどのサプリメントは、食事で不足しがちな栄養素を補う手段として利用されています。ただし、特定の成分を多量に、長期間摂り続けると、健康への悪影響が生じることがあります。

この記事では、抗酸化サプリメントを中心に、長期使用のリスクや薬との飲み合わせ、安全に利用するためのポイントを、公的機関の情報や研究をもとに解説します。

サプリメントの長期使用に危険性が指摘される理由

摂りすぎるとどんな症状が起こる?

サプリメントを過剰に摂ると、皮膚の赤みやかゆみ、胃腸の不調のほか、肝臓や腎臓の機能障害が起こることがあります。国民生活センターに寄せられる健康食品の危害情報でも、消化器や皮膚の症状が多く報告されています。

錠剤やカプセルは成分が濃縮され、満腹感も得られないため、食品よりも特定成分を摂りすぎやすい面があります。「効果を高めたい」と自己判断で量を増やすことは避けましょう。

食品安全委員会は、健康食品について、長期間にわたり多くの人を対象に検証した研究が十分でなく、安全性や有効性が確立していないものも多いとしています。「天然」「自然」と表示されていても、安全とは限りません。

【参考文献】医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報 国民生活センター「健康食品の危害」 食品安全委員会「健康食品に関する情報」

活性酸素は減らすほどよいのか?

活性酸素は、酸素が反応性の高い状態になった分子の総称です。細胞を傷つける働きが知られていますが、体にとって悪い作用だけではありません。

白血球は活性酸素を利用して細菌を殺します。この仕組みが遺伝的に働かないと、重い感染症を繰り返すことがあります。また、少量の活性酸素は細胞内の情報伝達にも関わります。

抗酸化物質を大量に摂ると、こうした防御機能や正常な情報伝達を妨げる可能性があります。活性酸素をただ減らせばよいと考えず、サプリメントの量や必要性を慎重に判断することが大切です。

【参考文献】NIH「Chronic Granulomatous Disease」 J Inflamm Res. 2020,13:1057-1073 厚生労働省eJIM「抗酸化物質」

抗酸化サプリメントでがんリスクが高まるといわれる理由

活性酸素を取り除きすぎる影響とは?

活性酸素には、異常な細胞の増殖を抑える働きもあります。マウスを使った研究では、肺がんを起こしやすいマウスに抗酸化物質のN-アセチルシステインやビタミンEを与えると、腫瘍の進行が促進され、生存期間も短くなりました。活性酸素が減ることでDNAの損傷が少なくなり、がん抑制に関わるたんぱく質(p53)の働きが弱まった可能性が示されています。

これは動物実験であり、結果をそのまま人に当てはめることはできません。ただし、抗酸化物質を多く摂れば必ず健康によいとは限らないことを示す研究です。

【参考文献】Sci Transl Med. 2014,6:221ral15

大規模なヒト研究でわかったこと

約23万人を対象とした68件の比較試験をまとめた2007年の解析では、抗酸化サプリメント全体で死亡率に明確な差はありませんでした。一方、研究の質が高い試験に絞ると死亡率の上昇が認められ、βカロテン、ビタミンA、ビタミンEで増加がみられました。ビタミンCとセレンでは同様の結果は確認されていません。

2012年のコクラン・レビューでは、78件、約30万人のデータが分析されました。全体では死亡率への明確な影響はありませんでしたが、質の高い56件では相対リスクが1.04と、わずかな上昇がみられました。抗酸化サプリメントを病気の予防に使う根拠は確認されず、βカロテンやビタミンE、高用量のビタミンAには注意が必要と結論づけられています。

がんリスクについても、個別の大規模試験で報告があります。

試験 対象と内容 報告された結果
ATBC(フィンランド)/CARET(米国) 喫煙者などを対象にβカロテンを投与(CARETではレチノールも併用) 肺がんの発症が増加。CARETは早期終了
SELECT(米国) 50歳以上の男性3万5,000人超にビタミンE(1日400 IU)などを投与 ビタミンE単独群で前立腺がんが17%増加

これらは集団でみられた傾向で、すべての人に同じ影響が出るわけではありません。それでも、高用量の抗酸化サプリメントを予防目的で続けることは、効果が十分確認されていない一方、リスクを示す報告がある点を理解しておきましょう。

【参考文献】JAMM 2007,297:842-857 Cochrane Database of Systematic Reviews 2012, 2012:CD007176 米国国立がん研究所「Antioxidants and Cancer Prevention」 

抗酸化サプリメントで報告されている副作用

代表的な報告には、次のようなものがあります。

喫煙者などが高用量のβカロテンをサプリメントで摂ると、肺がんのリスクが高まることが報告されています。βカロテンは体内でビタミンAに変換されます。通常の食事から摂る場合は過剰症が知られていませんが、サプリメントで大量に摂ると有害な影響が報告されています。

ビタミンEや魚油は、アスピリンなど血液を固まりにくくする薬と併用すると、出血や血液凝固への影響が生じる可能性があります。

【参考文献】医薬基盤・健康・栄養研究所「医薬品と健康食品の併用による注目すべき有害事象」

特定の成分を多く含むサプリメントのリスク

ビタミン・ミネラルの摂りすぎによる健康被害

ビタミンやミネラルには、習慣的に摂取しても健康への悪影響が起こりにくいとされる上限「耐容上限量」が設定されているものがあります。この量を超えて摂り続けると、過剰摂取による健康被害のリスクが高まります。

食品安全委員会は、サプリメントで過剰摂取に注意したい成分として、セレン、鉄、ビタミンA、ビタミンDなどを挙げています。通常の食事をしていれば、ビタミンやミネラルの欠乏症はまれとされています。

成分 過剰摂取で報告されている影響
ビタミンA 頭痛、頭蓋内圧の上昇、皮膚の落屑、脱毛、筋肉痛、肝障害など。サプリメントや大量のレバー摂取による報告があります。
ビタミンD 血中カルシウム・リンの上昇、腎臓や筋肉への沈着、軟組織の石灰化など。
鉄 便秘や胃腸障害、鉄の沈着、亜鉛の吸収阻害など。長期使用による鉄過剰症も報告されています。

【参考文献】厚生労働省「1-6 ビタミン」 医薬基盤・健康・栄養研究所「ビタミンD」 国民生活センター「海外事業者の鉄サプリメントの長期仕様により鉄過剰症を発症」

薬との飲み合わせに注意が必要な理由

サプリメントの成分が薬の作用を強めたり弱めたりすることを「相互作用」といいます。薬を服用している場合は、自己判断で併用しないことが重要です。

たとえば、セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)は薬を分解する酵素に影響し、抗HIV薬、免疫抑制薬、ワルファリンなどの作用を弱めることがあります。一方、グルコサミンはワルファリンの作用を強め、あざや出血のリスクを高める可能性が指摘されています。

注意が必要な薬と健康食品を併用し、有害事象が起きた71人の事例を調べた報告では、約9割に症状があり、その半数は重篤なものでした。服用中のサプリメントは、受診時に医師や薬剤師へ伝えましょう。手術を受ける場合も、事前に相談してください。

【参考文献】厚生労働省「セントジョーンズワートと医薬品の相互作用について」 厚生労働省eJIM「科学を知ろう:薬とサプリメントの相互作用」 

なぜ「量」だけでなく「種類」が大切なのか?

一つの成分を摂り続けるリスク

栄養素はそれぞれ単独で働くのではなく、互いに影響し合います。たとえば鉄を摂りすぎると、亜鉛の吸収が妨げられることがあります。特定の成分だけを高用量で摂り続けると、栄養バランスを崩す可能性があります。

また、抗酸化サプリメントを病気の予防に使うことを支持する十分な根拠は確認されていません。

食品に含まれる抗酸化物質との違い

野菜や果物には、ビタミンやポリフェノールなど、さまざまな抗酸化物質が含まれています。95件、200万例以上の観察研究をまとめた報告では、野菜や果物を多く食べる人ほど、心血管疾患やがんのリスクが低い傾向がみられました。ただし観察研究だけでは因果関係は断定できず、サプリメントでも同じ効果が得られるとは限りません。

食品は満腹感があるため、特定の成分を過剰に摂りにくいという特徴もあります。βカロテンも、通常の食事では体内で必要に応じてビタミンAに変換され、過剰症は知られていません。まずは多様な食品を取り入れ、食事全体を整えることが基本です。

なお、活性酸素については【記事:活性酸素と老化の関係|酸化ストレスと抗酸化を正しく知る】【記事:活性酸素の除去は女性が有利?ミトコンドリアとエストロゲンの関係を解説】でも解説しています。

サプリメントの長期使用によるリスクを避けるには

医師や専門家に相談したいケース

次のような場合は、サプリメントを使う前に医師、薬剤師、管理栄養士などへ相談しましょう。

 

  • 病気の治療中の方、薬を服用している方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • 手術を控えている方
  • 複数のサプリメントを併用している方
  • 摂取後に体調の変化を感じた方

 

病気のある方や薬を服用している方は、機能性表示食品についても医師・薬剤師への相談が案内されています。サプリメントは医薬品ではなく、病気を治すものでもありません。処方薬の代わりに使うことは避けてください。

【参考文献】消費者庁「機能性表示食品って何?」 

安全に選び、使うために確認したいこと

サプリメントを選ぶときは、次のポイントを確認しましょう。

確認すること ポイント
目安量 表示された摂取方法・目安量を守る。効果を感じなくても量を増やさず、中止や見直しを検討する。
併用 同じ成分の重複や相互作用を避けるため、複数の健康食品を自己判断で併用しない。
情報の見方 口コミや広告を鵜呑みにしない。動物実験や細胞実験だけで、人への効果が証明されたとはいえない。
表示 機能性表示食品は、安全性や機能性の根拠が消費者庁のウェブサイトで公開されています。購入前に確認する。

よくある質問(FAQ)

天然由来のサプリメントなら長期間使っても安全ですか?

天然由来でも安全とは限りません。リスクは成分や摂取量、使用期間、体の状態によって異なります。「天然」「自然」という表示だけで判断せず、表示された目安量を守りましょう。

複数のサプリメントを併用しても大丈夫ですか?

複数を自己判断で併用すると、同じ成分を重複して摂りすぎたり、成分同士が影響し合ったりする可能性があります。併用したい場合は、医師や薬剤師に相談してください。

同じサプリメントを何年も飲んでいます。やめる目安は?

効果を感じない場合や体調に変化がある場合は、量を増やさず、使用の中止や見直しを検討しましょう。薬が変わったとき、妊娠したとき、手術を控えているときも、医師や薬剤師に相談してください。処方薬を自己判断で中止することは避けましょう。

ある製品で健康被害が報道されたら、ほかの製品も危険ですか?

健康被害の原因は製品ごとに異なるため、一つの事例だけで他の製品も同様に危険とはいえません。一方、製品によっては品質や成分量にばらつきがあることも指摘されています。機能性表示食品では、事業者から行政へ健康被害情報を提供する仕組みがあります。摂取後に体調不良が出た場合は使用を中止し、医療機関に相談してください。

まとめ:サプリメントの長期使用で気をつけたいこと

サプリメントは成分が濃縮されているため、摂りすぎや長期使用による健康被害に注意が必要です。

 

  • 活性酸素には免疫や細胞内の情報伝達を担う働きもあり、抗酸化物質は多く摂るほどよいわけではありません。
  • 研究では、高用量のβカロテンやビタミンEなどで、死亡率や一部のがんリスクの上昇が報告されています。
  • 薬との相互作用にも注意し、使用中のサプリメントは医師や薬剤師に伝えましょう。

 

基本は多様な食品を取り入れたバランスのよい食事です。サプリメントを使う場合は目安量を守り、不安があれば専門家に相談してください。

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