この記事でわかること
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- 活性酸素とは何か、体内でどのように作られるのか
- 活性酸素が持つ「体を守る働き」と「細胞を傷つける働き」
- 加齢による抗酸化力の変化と、注目されている抗酸化成分
- 紫外線・喫煙・過度な運動など、活性酸素が増えやすい身近な要因
「活性酸素は老化の原因になるの?」「抗酸化食品を食べれば、老化を防げる?」
健康や美容について調べていると、「活性酸素」「抗酸化」「酸化ストレス」という言葉を目にする機会があります。活性酸素は体に悪いものと思われがちですが、ウイルスや細菌から体を守るなど重要な働きも担っています。一方で、増えすぎると細胞や遺伝子を傷つけ、酸化ストレスにつながることがあります。では、活性酸素はなぜ増えるのでしょうか。また、体には活性酸素から細胞を守る「抗酸化」の仕組みがどのように備わっているのでしょうか。
この記事では、活性酸素と抗酸化の基本から、加齢との関係、抗酸化酵素、抗酸化成分、活性酸素が増えやすい生活習慣まで、研究で分かっていることをわかりやすく解説します。
目次
活性酸素とは?体内でどのように作られる?
活性酸素は「反応しやすくなった酸素」の仲間
私たちは呼吸によって酸素を取り込み、その酸素を利用してエネルギーを作っています。その過程で、体内では活性酸素も日常的に発生します。
活性酸素は英語で「Reactive Oxygen Species(ROS)」と呼ばれ、一般的にはスーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素などに分類されます。つまり、活性酸素は特別な状況でだけ発生する物質ではなく、健康な人の体内でも常に作られているものなのです。
活性酸素は体に悪い?実は「守る働き」もある
「活性酸素=体に悪い」というイメージがありますが、これは正確ではありません。
活性酸素には、ウイルスや細菌などの異物を排除したり、細胞間の情報伝達に関わったりするなど、体を守る働きがあります。一方で、過剰に増えて処理しきれなくなると、細胞や遺伝子を傷つけることがあります。このように、活性酸素と抗酸化のバランスが崩れた状態が「酸化ストレス」です。酸化ストレスは、加齢に伴うさまざまな体の変化との関連が研究されています。大切なのは活性酸素を完全になくすことではなく、発生量と抗酸化システムのバランスを保つことです。
【出典】Sikder et al., Chonnam Medical Journal, 2025
活性酸素が増える原因とは?紫外線・喫煙・ストレスなどに注意
活性酸素は呼吸によって自然に発生していますが、生活環境や身体への負荷によって増えることがあります。
紫外線や喫煙など、活性酸素を増やす身近な要因
活性酸素が増える要因として、紫外線、放射線、大気汚染、喫煙、心理的・肉体的ストレスなどが挙げられています。また、酸化した食品を摂取することも、酸化ストレスに関わる要因の一つとして紹介されています。
これらをすべて避けることは現実的には難しいため、「活性酸素をできるだけ増やさない生活」と「体に備わった抗酸化の仕組みを保つこと」の両方を意識することが大切です。
【出典】健康長寿ネット「酸化ストレス」(公益財団法人 長寿科学振興財団)
過度な運動も酸化ストレスの要因になる
運動は健康維持に役立つ生活習慣の一つですが、激しい運動や長時間にわたる過度な運動は、酸化ストレスを高める要因の一つになります。運動をするときは、運動量を増やせば増やすほどよいと考えるのではなく、自分の体調や体力に合わせて強度や時間を調整することが大切です。
【出典】健康長寿ネット「酸化ストレス」(公益財団法人 長寿科学振興財団)
抗酸化力の低下は老化と関係?活性酸素から体を守る仕組み
抗酸化酵素は体内の「掃除係」
私たちの体には、増えすぎた活性酸素を処理するための「抗酸化」の仕組みが備わっています。
その中心的な働きをしているのが「抗酸化酵素」です。抗酸化酵素は体内で作られるタンパク質の一種で、活性酸素による酸化ストレスから細胞を守るために働いています。代表的な抗酸化酵素には、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)、カタラーゼ、GPx(グルタチオンペルオキシダーゼ)などがあります。
| 抗酸化酵素 | 主な働き |
| SOD(スーパーオキシドジスムターゼ) | 活性酸素の一種を、害の少ない物質へ変える |
| カタラーゼ | SODによって生じた過酸化水素を、水と酸素に分解する |
| GPx(グルタチオンペルオキシダーゼ) | 過酸化水素や過酸化脂質を分解し、細胞の酸化を防ぐ |
このように、体内には活性酸素が増えたときに対応する複数の抗酸化システムが存在しています。
抗酸化力は加齢とともに低下する?
加齢と抗酸化酵素の働きについても研究が行われています。55歳から90歳以上の221人を対象としたポーランドの研究では、年齢が高いグループほど、抗酸化酵素の働きが弱まる傾向が確認されました。
90歳以上のグループでは、55歳のグループと比較して、
- SOD活性:約17%低下
- カタラーゼ活性:約20%低下
- GPx活性:約27%低下
という変化が確認されています。
ただし、この研究では、なぜこのような変化が起こるのかという原因までは明らかになっていません。2025年の報告では、加齢とともに抗酸化酵素の働きが低下する可能性が示される一方、栄養状態や生活習慣などによって、その働きが保たれている例も報告されています。
つまり、加齢による抗酸化酵素の働きの変化を考慮しつつ、食品から抗酸化物質を取り入れる食習慣や、活性酸素の過剰な発生を防ぐ生活習慣を日頃から意識することが、健やかな体を保つうえで重要です。
【出典】Kozakiewicz et al., Clinical Interventions in Aging, 2019 Płóciniczak et al., Metabolites, 2025
抗酸化食品に含まれる成分とは?ファイトケミカルとビタミンC・E
体内の抗酸化酵素だけでなく、食事から摂取する成分にも抗酸化に関わるものがあります。代表的なものが、ファイトケミカルや抗酸化ビタミンです。

ファイトケミカルとは
ファイトケミカル(フィトケミカル)とは、野菜や果物などの植物が、紫外線や外敵などから自分自身を守るためにつくり出している成分の総称です。
ポリフェノールやカロテノイドなど、非常に多くの種類があります。これらの成分のなかには抗酸化作用を持つものが知られており、食品から摂取する成分として注目されています。ただし、「特定の成分を摂れば病気を防げる」というよりも、野菜や果物をよく食べる人ほど病気になりにくいという関連を示す研究が中心です。そのため、さまざまな食品を組み合わせて摂ることが基本になります。
【出典】農林水産省「ファイト(フィト)ケミカルの働き」 Food & Nutrition Research, 2023
抗酸化ビタミン(ビタミンC・E)
ビタミンCとビタミンEも、抗酸化に関わる代表的な栄養素です。
ビタミンCとビタミンEには活性酸素を抑える働きがあり、両者は互いに関係しながら働くことが知られています。ビタミンCには、酸化されたビタミンEの働きを回復させる作用もあります。ただし、「抗酸化ビタミンをサプリメントで多く摂れば、病気や老化を防げる」とまではいえません。複数の研究をまとめた報告では、ビタミンC単独の摂取によって血管の状態が改善する傾向がみられた一方、ビタミンCとEを組み合わせた場合には明確な違いが確認されなかったとされています。
【出典】厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」 British Journal of Nutrition, 2015 厚生労働省 食事摂取基準策定検討会報告書
グルタチオンとは?抗酸化物質としての働きと注意点
グルタチオンは体内で作られる抗酸化物
グルタチオンも、体内に存在する代表的な抗酸化物質の一つです。
グルタチオンは細胞内で酸化と抗酸化のバランスを保つ「調整役」のような働きを担っています。
一方で、「グルタチオンを食品やサプリメントから摂れば、体内の抗酸化力がすぐに高まる」と考えるのは適切ではありません。健康な人を対象とした研究では、数週間にわたってグルタチオンを摂取しても、体内の酸化ストレス状態に明確な変化が確認されなかった報告があります。したがって、グルタチオンを摂れば抗酸化力がすぐに高まるとは、現時点では言い切れません。
【出典】Aoyama & Nakaki, Molecules, 2015 Allen & Bradley, The Journal of Alternative and Complementary Medicine, 2011
抗酸化のために何を食べればいい?今日からできる食事の工夫
活性酸素や酸化ストレスについては、現在も研究が続いています。そのため、特定の食品や抗酸化成分を摂取するだけで「老化を止められる」「病気を予防できる」と考えるのは適切ではありません。
一方で、ファイトケミカルや抗酸化ビタミンを含む野菜・果物などを、毎日の食事に取り入れることは一般的な食生活の工夫として紹介されています。まずは、毎日の食卓にさまざまな色の野菜や果物を取り入れるところから始めてみるとよいでしょう。
| 成分 | 体内でつくれるか | 現時点での知見 |
| ファイトケミカル | つくれない | 野菜・果物をよく食べる人ほど病気になりにくいという関連が中心 |
| 抗酸化ビタミン(C・E) | つくれない | 通常の食事からの摂取が基本。サプリメントによる病気予防効果は未確立 |
| グルタチオン | 体内でつくられる | サプリメントとして摂取した場合の効果はまだ確立されていない |
大切なのは、「抗酸化成分をたくさん摂ること」だけを目標にするのではなく、野菜や果物などを含むバランスのよい食事を続けることです。
抗酸化物質を含む食材を使ったレシピもご紹介しています。詳しくは【記事:夏を乗り切るおすすめの栄養や食べ物を管理栄養士が紹介!】【記事:旬の恵みで体を整える!夏みかん・旬野菜・新茶の健康パワーとおすすめレシピ】をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
活性酸素は体に悪いものなのですか?
活性酸素は、必ずしも体に悪いものではありません。少量であれば、ウイルスや細菌などを排除するなど、体を守る働きがあります。一方で、活性酸素が増えすぎて体内の抗酸化システムで処理しきれなくなると、細胞や遺伝子を傷つける酸化ストレスにつながることがあります。そのため、活性酸素は「悪いもの」と考えるのではなく、量とバランスによって働きが変わるものと理解することが大切です。
グルタチオンをサプリで摂れば抗酸化力はすぐ上がりますか?
現時点では、そう言い切ることはできません。健康な成人を対象とした研究では、グルタチオンを4週間摂取しても、体内の酸化ストレス指標に有意な変化がみられなかった報告があります。口から摂取したグルタチオンが体内でどの程度そのまま利用されるのかについても、まだ研究上の課題があります。
老化を防ぐには何を食べればいいですか?
特定の食品や成分だけで老化を止められるとは、現時点ではいえません。野菜や果物には、ポリフェノールやカロテノイドなどのファイトケミカル、ビタミンC・Eなどの抗酸化に関わる成分が含まれています。こうした食品を毎日の食事に取り入れ、さまざまな食品をバランスよく食べることが基本的な考え方です。まずは、食卓の色どりを増やすことから始めてみるのもよいでしょう。
活性酸素を除去する食べ物はありますか?
特定の食品だけで、体内の活性酸素を完全に取り除くことはできません。ただし、野菜や果物には、ポリフェノールなどのファイトケミカルや、ビタミンC・Eなど、抗酸化に関わる成分が含まれています。特定の食品に偏るのではなく、さまざまな野菜や果物をバランスよく取り入れることが、基本的な食生活の工夫といえるでしょう。
運動をすると活性酸素は増えるのですか?
激しい運動や長時間にわたる過度な運動は、酸化ストレスを高める要因の一つとして紹介されています。ただし、運動そのものを避ける必要があるという意味ではありません。無理のない範囲で運動を生活に取り入れながら、自分の体調や体力に合わせて運動の強度や頻度を調整することが大切です。
まとめ
活性酸素は、老化や酸化ストレスとの関係から注目されている物質ですが、体に悪いだけの存在ではありません。今回の記事のポイントを振り返りましょう。
- 活性酸素は体内で日常的に作られ、体を守る働きも持っている
- 活性酸素が増えすぎると、酸化ストレスにつながることがある
- 紫外線や喫煙、ストレス、過度な運動などは活性酸素が増える要因になる
- SOD・カタラーゼ・GPxなどの抗酸化酵素が、体内で活性酸素の処理に関わっている
- ファイトケミカルやビタミンC・Eなどは抗酸化に関わる成分だが、特定の食品や成分だけで老化や病気を防げるとは確立されていない
野菜や果物などを含むバランスのよい食事と、無理のない生活習慣を続けることが、活性酸素や酸化ストレスと上手に付き合うための基本といえるでしょう。
注)本記事は研究内容を一般向けに紹介するもので、特定の商品による健康効果を示すものではありません。研究対象・摂取量・条件は、通常の食事とは異なる場合があります。
岡山大学大学院にて博士号(農学)を取得。腸内細菌や発酵食品の研究者として国内外で論文を多数発表。腸の健康や食に関する講演・セミナー、メディアへの寄稿など幅広く活動中。著書に『「腸内酵素力」で、ボケもがんも寄りつかない』(講談社)など。

