この記事でわかること
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- ファイトケミカル・ビタミン・グルタチオンの特徴と、抗酸化に関わる働き
- 抗酸化成分をサプリメントで摂るときに注意したいポイント
- 生野菜と加熱野菜で異なる、栄養素の摂り方・吸収の違い
- 抗酸化成分を無駄なく摂るための、調理・保存・食事の工夫
「抗酸化物質はサプリメントで摂ったほうが効果的?」「グルタチオンは美容や老化対策に本当に役立つ?」――そんな疑問を持ったことはありませんか。
近年、ファイトケミカルやビタミン、グルタチオンは抗酸化成分として注目されています。しかし、これらは単独で大量に摂ればよいというものではなく、食事からどのように取り入れるかが重要です。生食と加熱で吸収されやすい栄養素が異なることや、高用量サプリメントには注意が必要な場合があることも研究で報告されています。
この記事では、ファイトケミカル・ビタミン・グルタチオンの基本的な役割と、サプリメントに頼りすぎず食事で上手に取り入れる方法を、科学的な根拠に基づいてわかりやすく解説します。
目次
ファイトケミカルとは?植物に含まれる抗酸化成分
ファイトケミカル(フィトケミカル)とは?
ファイトケミカルは、植物に含まれるさまざまな成分の総称です。
ポリフェノールやカロテノイドなどが代表的で、植物が紫外線や虫、微生物などから身を守るために作り出す色素、香り、辛味などの成分も含まれます。ファイトケミカルには、抗酸化に関わる働きのほか、免疫のバランスを整える働きなども報告されています。ただし、ファイトケミカルは医薬品ではありません。特定の成分を摂取することで、病気を治したり予防したりできると保証されているわけではないことには注意が必要です。
抗酸化ビタミンも食品から摂ることが基本
抗酸化に関わる代表的なビタミンとして、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンが挙げられます。

ビタミンC
ビタミンCは、果物やいも類などに多く含まれる水溶性ビタミンです。抗酸化に関わるほか、皮膚や血管などの健康維持にも必要な栄養素です。
β-カロテン
β-カロテンは、にんじんやかぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種です。体内ではビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持などに関わります。
ビタミンE
ビタミンEは、植物性の油やナッツ類などに含まれる脂溶性ビタミンで、抗酸化に関わる働きを持っています。ビタミンCとEを組み合わせたサプリメントが健康にどの程度役立つのかについては、研究によって結果が異なっており、明確な結論は出ていません。
そのため、ビタミンC・E・β-カロテンも、まずは野菜や果物、ナッツ類などの食品からバランスよく摂ることを基本に考えましょう。
【出典】厚生労働省e-ヘルスネット「ビタミン」 Br J Nutr.(17件のRCTのメタ解析)
グルタチオンとは?体内でも作られる抗酸化物質
グルタチオンは、野菜や果物などにも含まれている抗酸化物質です。一方で、グルタチオンは食品から摂るだけではなく、私たちの体内でも作られています。主に肝臓で作られており、その生成量は加齢とともに少しずつ減少する可能性が報告されています。
また、ファイトケミカルには、体内でのグルタチオン生成を助ける働きも報告されています。このことから、ファイトケミカル、ビタミン、グルタチオンは、それぞれが独立して働くというより、体内の抗酸化システムの中で互いに関わりながら働いていると考えられます。
ただし、グルタチオンを食品やサプリメントから摂取した場合に、体内で同じように働くのかについては、まだ十分に確立されていません。「グルタチオンサプリを摂れば抗酸化対策になる」と単純に考えるのではなく、まずは普段の食事を整えることが大切です。
【出典】Aoyama & Nakaki, Molecules, 2015
ファイトケミカルが豊富な食品は?「色」で選ぶのがおすすめ
ファイトケミカルにはさまざまな種類があり、含まれる食品も異なります。
例えば、以下のような成分が代表的です。
| 成分 | 色 | 代表的な食品 |
| リコピン | 赤 | トマト・すいか |
| アントシアニン | 紫 | ブルーベリー・なす |
| カテキン | 緑 | 緑茶・抹茶 |
| イソフラボン | 淡黄色 | 大豆 |
ファイトケミカルの中には、植物の色素と関係しているものも多くあります。そのため、特定の野菜だけを食べるのではなく、赤・緑・紫・黄色など、さまざまな色の野菜や果物を組み合わせることがポイントです。「抗酸化成分を摂るために、この食品だけを毎日大量に食べる」という方法ではなく、毎日の食事にさまざまな食品を取り入れることを意識しましょう。
抗酸化サプリメントは必要?高用量・単独摂取には注意

抗酸化成分というと、「サプリメントで効率よく摂ればいい」と考える方もいるかもしれません。しかし、食品から摂る場合と異なり、サプリメントで単一成分を高用量かつ長期間摂取する場合には注意が必要です。
β-カロテンの高用量サプリメントに注意
フィンランドの男性喫煙者約2万9,000人を対象としたATBC試験では、高用量のβ-カロテンサプリメントを摂取したグループで、プラセボ群より肺がん発生率が高くなったことが報告されています。また、肺がんリスクの高い人を対象とした研究でも同様の傾向がみられ、試験は予定より早く中止されました。
こうした研究結果を受け、目の健康を目的とする米国国立眼科研究所では、喫煙経験者への配慮からβ-カロテンではなく、ルテイン・ゼアキサンチンを使用する処方が採用されています。つまり、「抗酸化成分なら多く摂るほどよい」とは限りません。特に喫煙者など、特定の条件に当てはまる場合は、高用量のβ-カロテンサプリメントを自己判断で摂取することは避けたほうがよいでしょう。
ビタミンEも高用量摂取には注意
ビタミンEについても、高容量の合成ビタミンEを摂取した研究では、脳出血を含む出血リスクの増加が観察されています。ビタミンEは重要な栄養素ですが、必要量を大きく超えてサプリメントで補うことが必ずしも健康につながるわけではありません。普段の食事から十分な栄養素を摂れている場合は、β-カロテンやビタミンEの高用量サプリメントを自己判断で長期間続けることは避けましょう。
【出典】ATBC試験, NEJM, 1994 CARET試験, JNCI, 1996 米国国立眼科研究所, AREDS2 FAQ
グルタチオンサプリメントはどう考える?長期摂取は慎重に
グルタチオンサプリメントも、鼓腸や軟便などの軽い消化器症状が報告されることがあります。多くは自然に治まるとされていますが、長期間摂取した場合の安全性については、まだ十分な研究がありません。
また、グルタチオンと肝臓の健康との関係も研究されていますが、動物実験や小規模な臨床試験が中心です。そのため、持病がある方や治療中の方がグルタチオンサプリメントを長期間摂取する場合は、自己判断せず医師などの専門家に相談することが大切です。
なお、活性酸素や抗酸化酵素について詳しくはこちらの記事で解説しています。【記事:活性酸素と老化の関係|酸化ストレスと抗酸化を正しく知る】
【出典】Alzahrani et al., Cureus, 2025 Wang et al., BMC Gastroenterology, 2025
野菜は生と加熱、どちらがいい?栄養素によって使い分けよう
「野菜は生で食べたほうが栄養を摂れる」というイメージがありますが、栄養素によって、生食に向いているものと、加熱によって利用しやすくなるものがあります。
ビタミンCは「生・蒸す・電子レンジ」が向いている
ビタミンCは水に溶けやすく、熱にも弱い性質があります。特に茹でると、ビタミンCが水に溶け出して失われやすくなります。一方、電子レンジや蒸し調理では、ビタミンCが90%以上保持されたという報告もあります。ビタミンCを意識するなら、生食だけでなく、蒸し調理や電子レンジ調理も取り入れてみましょう。
【出典】Lee et al., Food Science and Biotechnology, 2017
カロテノイドは加熱・すりつぶしで吸収されやすくなる
β-カロテンなどのカロテノイドは、野菜の細胞壁の内側に存在しています。そのため、加熱したり、すりつぶしたりして細胞構造を壊すことで、吸収されやすくなる傾向があります。ただし、生食ではまったく吸収されないというわけではありませんので、生食と加熱調理を組み合わせることが、現実的な方法です。
【出典】Toydemir et al., Food Chemistry: X, 2022 Holland et al., Foods, 2020
抗酸化成分を無駄にしない保存・下ごしらえのポイント
ビタミンCや一部のファイトケミカルは水に溶けやすいため、長時間水にさらすことはできるだけ避けましょう。また、野菜や果物は切断面が増えるほど、酸化や成分の溶出が進みやすくなります。
そのため、
- 調理する直前に切る
- 洗う時間を短くする
- 水に浸ける時間を短くする
といった工夫がおすすめです。
すぐに使い切れない場合は、冷凍野菜を利用するのも選択肢の一つです。冷凍野菜は収穫後すぐに冷凍されることが多く、保存中の成分損失が比較的少ないという報告もあります。
ファイトケミカルを摂るなら「スープ」もおすすめ
複数の野菜を使ったスープも、ファイトケミカルを摂取する有効な食事です。野菜を煮込むことでカロテノイド類などを利用しやすくできるほか、水に溶けやすい成分も煮汁と一緒に摂ることができます。一方で、ビタミンCを意識したい場合には、生野菜や果物、蒸し料理なども組み合わせましょう。「生か加熱か」のどちらか一方に決めるのではなく、目的に応じて使い分けることがポイントです。
| 意識したい成分 | おすすめの食べ方 |
| ビタミンC | 生野菜・果物・蒸し調理・電子レンジ調理 |
| カロテノイド | 加熱料理・すりつぶした料理・野菜スープ |
| グルタチオン | 煮汁ごと食べられるスープ料理 |
よくある質問(Q&A)
ファイトケミカルは生野菜から摂れない?
いいえ。生野菜からもファイトケミカルを摂ることができます。ただし、成分によっては野菜の細胞壁が吸収を妨げる場合があります。加熱やすりつぶしによって吸収が高まりやすい成分もあるため、生食と加熱調理を組み合わせるのがおすすめです。
ビタミンのサプリメントは飲まないほうがいい?
サプリメントを一律に避ける必要はありません。ただし、高用量の単独摂取には注意が必要です。特にβ-カロテンでは、喫煙者など特定の集団で肺がんリスクの増加が報告されています。持病がある方や、サプリメントを継続的に摂取したい場合は、医師や管理栄養士などに相談しましょう。
グルタチオンサプリメントは危険?
一般的には忍容性が良好とされていますが、鼓腸や軟便などの消化器症状が報告されています。また、長期間摂取した場合の安全性については、まだ十分なデータがありません。そのため、特に持病がある方は自己判断で長期間摂取せず、専門家に相談することをおすすめします。
野菜は生と加熱、どちらがいい?
どちらか一方に偏る必要はありません。ビタミンCを意識するなら、生食・電子レンジ・蒸し調理が向いています。一方、β-カロテンなどのカロテノイドを意識するなら、加熱やすりつぶしを取り入れるのがおすすめです。
まとめ
ファイトケミカル、ビタミンC・E、β-カロテン、グルタチオンなど、抗酸化に関わる成分にはさまざまな種類があります。大切なのは、特定の成分を大量に摂ることではありません。
- ファイトケミカルや抗酸化ビタミンは、まず食品から摂ることを基本にする
- β-カロテンやビタミンEの高用量サプリメントは、自己判断で長期間続けない
- グルタチオンは体内でも作られるが、サプリメントによる補完効果はまだ十分に確立していない
- ビタミンCは生食・蒸し調理、カロテノイドは加熱調理など、成分によって調理法を使い分ける
- 赤・緑・紫・黄色など、さまざまな色の野菜や果物を組み合わせる
- スープなど、複数の野菜をまとめて食べられる料理も活用する
「抗酸化成分を効率よく摂らなければ」と考えるよりも、日々の食事にさまざまな野菜や果物を取り入れ、生食と加熱調理を組み合わせることが、無理なく続けやすい方法です。
※本記事は一般的な栄養に関する情報提供を目的としており、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。持病がある方、治療中の方、妊娠中・授乳中の方は、食事やサプリメントの内容を変更する前に医師や管理栄養士にご相談ください。
岡山大学大学院にて博士号(農学)を取得。腸内細菌や発酵食品の研究者として国内外で論文を多数発表。腸の健康や食に関する講演・セミナー、メディアへの寄稿など幅広く活動中。著書に『「腸内酵素力」で、ボケもがんも寄りつかない』(講談社)など。

