年々暑さが厳しくなっている気候ですが、立春(2月4日頃)から数えて210日を過ぎると朝晩の空気に秋の気配が漂いはじめます。
実りの秋はおいしい食べ物が出揃う季節です。道の駅では名残りのトウモロコシや夏野菜に混じって、みずみずしい秋の野菜や果物で賑わっています。夏の間、乾いた喉を潤してくれたスイカが姿を消して、梨やぶどうにバトンタッチ。秋に起きやすい体の変調を整えるべく登場するのです。

気管の故障が多くなる
秋は空気が乾燥するため、肌荒れや髪のパサつきなど美容上のトラブルのほかに、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、気管支炎など風邪の症状が現れる方も多いはず•••。
秋の野菜、果物はこうした大気の乾燥から肺や呼吸器を守り、肌や髪を潤す薬効を秘めています。

旬の食べ物は薬
空気の乾燥で失われる潤い成分を補うのは、秋に旬を迎える食べ物です。呼吸器と大腸を潤して、その働きを助けます。

【梨】(甘・微酸味・寒) 熱をとり、口の渇きを止め、咳、痰を鎮めるので手軽な風邪薬です。また、下痢にも効果あり。
【ぶどう】(甘・平) 喉の渇きを癒し、気力を高め、血行をよくし、尿の出をよくします。
【柿】(甘・寒) 口の渇きを止め、二日酔いを防ぎます。風邪予防にも最適。
【栗】(鹹・温) 腎、胃に働いて生命力を補い、筋力を強めて気力を高めます。
【れんこん】(甘・平) おろし汁は咳止めや痰きりに良いと言われています。特にれんこんの節の部分に効果があり、中国の漢方薬市場では、この乾燥したものが生薬として売られていました。
【大根】(辛・涼) サイコロ状に切ってハチミツや水飴と混ぜた大根飴は咳止めに昔から有名です。

美容の面で秋の気候はトラブルを起こしやすく、女性にとっては悩みが多くなる季節ですが、一方でそれを助けるように出回る秋の味覚は肌を潤し、風邪を防ぎ、お腹の調子を整えて免疫力を高める貴重な作用で私たちの体を守ってくれます。
こうしてみると、旬の食べ物はまさに「薬食同源」そのものです。普段食べている旬の食材に、私たちは自然と助けられていますね。
「東京薬膳研究所」代表。食養・薬膳研究家。1970年代より成人病と食生活の臨床研究に従事し、1986年に渡中。本場中国(四川省)にて高名な薬膳師に師事し、薬膳理論と料理技術を学ぶ。帰国後は日本の気候風土や伝統的な和食文化に合わせた独自の「和食薬膳」を提唱し、長年にわたりその第一人者として日本の薬膳界を牽引する。 『食は薬なり』の教えを広めるため、これまでに数多くのカルチャーセンターでの講師や全国各地での講演活動を行い、後進の育成や薬膳の普及に尽力。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)など多数。

