「春眠暁を覚えず」という言葉があります。
春の陽気は気持ちよく、暁(太陽が昇る頃)になってもまだ目が覚めやらず寝過ごしてしまう…という意味です。
一方で、春は寝つきが悪く、一日中頭がぼーっとしてスッキリしないという声を耳にします。この違いはなんでしょうか。

東洋医学では、春は「肝」に負担がかかるとされています。
肝は解毒や血液を貯蔵する器官の肝臓だけでなく、目、筋肉、神経も包括しています。
肝臓が働きすぎて疲弊すると、本来貯蔵させるはずの血液がおさまらず、血が高ぶるようになるのです。
そのため、頭痛、めまい、鼻づまり、目の充血、まぶたのむくみ、喉の痛みなど、主に体の上部、顔や頭などに症状が現れるのです。

昔から和食の世界では「春の皿には苦味を盛れ」といわれています。体のトラブルを未然に防ぐものが苦味の食材です。
フキノトウ、ウド、セリ、セロリ、タンポポ、ヨモギ、菜の花、明日葉、新ゴボウなど、春が旬の食材は解毒作用に優れています。

また同時に、肝を補う「酸味」の食材も積極的に取るようにしましょう。肝臓の働きを助けてくれますよ。
自然界はその季節に必要なものをあらかじめ用意し、体のトラブルを未然に防いでくれるのです。

菜の花の辛子酢和え(2人分)

菜の花(1束)は色よくゆでて3cmの長さに切る。醤油(大さじ2)、お酢(大さじ1)、砂糖(大さじ1)に溶き辛子(小さじ1)を加え混ぜ、菜の花を和える。
菜の花と油揚げの煮物(2人分)

菜の花(1束)は色よくゆでて4cmの長さに切る。油揚げ(1枚)は熱湯をかけて油抜きし、横半分、縦1cm幅に切ってから鰹出汁(250cc)、酒(小さじ2)、醤油(小さじ2)、みりん(小さじ2)と一緒に弱火でしばらく煮ます。そこへ菜の花を加えてさらに1分半程度煮たら完成です。
「東京薬膳研究所」代表。食養・薬膳研究家。1970年代より成人病と食生活の臨床研究に従事し、1986年に渡中。本場中国(四川省)にて高名な薬膳師に師事し、薬膳理論と料理技術を学ぶ。帰国後は日本の気候風土や伝統的な和食文化に合わせた独自の「和食薬膳」を提唱し、長年にわたりその第一人者として日本の薬膳界を牽引する。 『食は薬なり』の教えを広めるため、これまでに数多くのカルチャーセンターでの講師や全国各地での講演活動を行い、後進の育成や薬膳の普及に尽力。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)など多数。

