コラム

【前編】良かれと思って肝臓を壊していませんか?間違いだらけの「健康常識」

毎日、家族や仕事のために忙しく過ごしている皆さま。「最近、なんとなく体が重い」「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」「お腹周りだけがどうしても痩せない」といった悩みはありませんか?

健康意識が高い方ほど、テレビや雑誌で「体にいい」と聞いた習慣を一生懸命続けていらっしゃることでしょう。

しかし、長年多くの患者さんを診てきた専門医の視点から見ると、実は「健康のため」と信じて行っている習慣が、逆に肝臓に悲鳴を上げさせているという驚きの事実があります

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、多少のダメージでは痛みも違和感も出しません。そのため、良かれと思って続けている「間違った習慣」が、気づかないうちに肝臓を脂だらけにし、数年後の糖尿病や肝硬変といった大きな病気を招く「隠れ脂肪肝」を引き起こしているのです

今回は、私たちが陥りがちな「健康常識の落とし穴」を徹底的に解き明かしていきます。

1. 「アメちゃん」をいつもカバンに入れていませんか?

大阪の女性に限らず、カバンの中にいつもアメを入れている方は多いものです。「ちょっと疲れたときに」「口寂しいから」と、ポイっと口に入れるその一粒。実はこれが、肝臓にとっては大きな負担になっています

アメに含まれるブドウ糖は非常に吸収が早く、口から入るとすぐに腸で吸収され、血流に乗って脳に届きます

一時的に頭がスッキリして元気になったような気がしますが、これは血液中の糖分が急激に増えた状態、いわゆる「血糖値スパイク」の始まりです

急上昇した血糖値を下げるために、体は慌てて「インスリン」というホルモンを大量に分泌します。このインスリンには、余った糖質を中性脂肪に変えて肝臓に溜め込むという働きも持っているのです

「アメくらいなら」という毎日の小さな積み重ねが、じわじわと肝臓を脂肪の塊に変えていきます

2. 「熱中症対策にスポーツドリンク」の危険性

暑い時期、水分補給としてスポーツドリンクを常飲していませんか?テレビCMなどで健康的なイメージがありますが、日常的な水分補給として飲み続けると、肝臓に非常に大きな負担をかけると言えます

一般的なスポーツドリンク500mlには、角砂糖にして約10個分もの糖分が含まれています。特に問題なのが「果糖ブドウ糖液糖」という液状の糖質です。

これは「果糖」が主成分で、体内で中性脂肪に変換されやすく、ダイレクトに肝臓へ蓄積されます 激しい運動で大量の汗をかいた後ならまだしも、日常生活の水分補給として飲むと、あっという間に脂肪肝が進んでしまいます。

日常の喉の渇きには、水やお茶で十分なのです

3. 「フルーツは体にいい」という思い込み

ビタミンやミネラルが豊富なフルーツ。しかし、フルーツに含まれる「果糖」には、他の糖分とは異なる大きな特徴があります。それは、「ほぼ肝臓のみで代謝(処理)される」という点です

ブドウ糖は全身の細胞のエネルギーになりますが、果糖は肝臓だけで処理されるため、摂りすぎるとそのすべてが肝臓の負担となり、脂肪に作り変えられます

「夕食後のデザートにたっぷりフルーツ」を習慣にしていると、夜はエネルギーとして消費されないため、効率よく肝臓に脂肪が蓄積されます

実際に、シャインマスカットなどの甘い果物を1週間食べ続けただけで、肝機能の数値が劇的に悪化したケースも報告されているため、いくら体に良い果物でも、過剰な摂取には注意が必要です

4. 野菜不足を「市販のジュース」で補う罠

「1日分の野菜が摂れる」というキャッチフレーズに惹かれ、市販の野菜ジュースや乳酸菌飲料を毎日飲んでいませんか?飲みやすく加工されたこれらの飲料には、大量の砂糖や果糖が含まれています

本来、野菜は固形で食べることで、食物繊維が糖の吸収を穏やかにしてくれます。

しかし、ジュースに加工される過程で食物繊維が取り除かれていることが多く、残ったのは「肝臓を直撃する甘い液体」です

野菜の栄養は、サプリやジュースではなく、できるだけ固形の野菜から摂るように心がけましょう

5. ダイエットのための「ノンオイル」が裏目に

「油は太るから」とノンオイルドレッシングを選んでいる方は要注意です。脂質をカットした分、味を整えるために「果糖ブドウ糖液糖」などの糖質がたっぷりと追加されていることが多いためです

肝臓の健康を守る上で、本当に控えるべきは「脂質」ではなく「糖質」です

糖質の多いノンオイルドレッシングよりも、血糖値を上げにくいという点では、マヨネーズを適量使う方が有利な場合もあります。ただし、脂質の摂りすぎにも注意が必要なため、ドレッシング類の選び方は全体の栄養バランスを考慮しましょう

6. 「肝臓にいい」とされるサプリメントの盲点

「お酒を飲むから」とウコンやシジミのサプリを飲み続けている方も多いでしょう。

しかし、すでに肝機能が低下している場合、サプリに含まれる鉄分などのミネラルが過剰になり、逆に肝臓で「活性酸素」を発生させて炎症を悪化させるリスクがあります

 良かれと思って飲んでいるサプリが、逆に肝臓を攻撃しているケースは、実は少なくありません

7. 仕事の合間の「エナジードリンク」と「甘い缶コーヒー」

「シャキッとしたい」ときに飲むエナジードリンクや甘いコーヒー。これらには大量の糖分に加え、多量のカフェインが含まれています

カフェインには肝臓での脂肪化を促進させる作用があることが分かっており、「糖質+カフェイン」の組み合わせは肝臓にとってまさに最悪の選択なのです

8. 「度数の低い甘いサワー」なら大丈夫?

「強いお酒は飲まないから大丈夫」と、アルコール度数の低い甘いチューハイやサワーを日常的に飲むのも危険です問題はアルコール量よりも、そこに含まれる「糖分」の多さです

甘くて飲みやすいお酒は、知らず知らずのうちに大量の糖質を摂取することになり、アルコールそのものによるダメージ以上に、脂肪肝を加速させます

肝臓を守る「新・食習慣」4つの解決策

これまでの「良かれと思って」行っていた習慣を見直し、今日からすぐに取り組める具体的な解決策を紐解きます。
  1. 飲み物は「糖質ゼロ」を基本に、緑茶をセレクト日常的に飲むものを、ジュースや甘い清涼飲料水から「糖質の入っていないもの」に変えることが、脂肪肝撃退への近道です。特におすすめなのは「緑茶」をセレクトすることです。「甘い飲み物を控える」というこれだけの工夫で、数週間から1ヶ月ほどで「脂肪肝が改善した」「健康的に痩せた」といった目に見える結果が出る人も少なくありません
  2. 主食の糖質は「1〜2割減らす」だけで十分極端な「糖質ゼロダイエット」は、体がエネルギー不足を感じて脂肪を溜め込もうとするモードに入るため、逆効果です。解決策は、毎食のごはんやパンを「一回分につき一口二口減らす」程度の、ゆるやかな調整に留めることです。これだけで、食後の血糖値上昇が抑えられ、脂肪が蓄積されにくい体へと変わっていきます
  3. 「精製されていない主食」で血糖値をコントロール
     同じ炭水化物でも、白米や白いパンよりも、玄米や五分づき米、ライ麦パンといった「精製されていないもの」を選ぶのが賢い選択です。これらは食物繊維が豊富なため、血糖値の上昇がゆるやかになり、自然としっかり噛んで食べる習慣にも繋がります
  4. 減らした糖質の代わりに「動物性たんぱく質」をプラス糖質を少し減らした分、肉、魚、卵、乳製品などの「動物性たんぱく質」を積極的に食べるようにしましょう。たんぱく質が不足すると、筋肉量が減るだけでなく、栄養状態を支える「アルブミン」という物質が減って活力が落ちてしまいます。特に高齢の方は、「朝はおにぎりだけ」といった炭水化物に偏った食事を避け、毎食必ず1品はたんぱく質のおかずを取り入れることが大切です

隠れ糖質を減らして肝臓から元気に!

私たちが長年信じてきた「疲れたら甘いもの」「健康のために野菜ジュース」といった常識の多くが、実は肝臓を疲れさせる原因になっていました。

肝臓を守る第一歩は、カバンの中のアメを一粒減らし、無意識に摂っている「隠れ糖質」に気づくことです。そして、極端な制限ではなく、「糖質を少し減らして、その分たんぱく質をしっかり摂る」というバランスの調整が、肝臓を再生させる確かな力になります。

次回の後編では、ライフステージに合わせて変化する「年代別の肝臓ケア」について詳しくお伝えします。50代の「リセット術」から、70代以降の「食べて守る」戦略まで、100年健康で歩むための具体的なプランを公開します。

参考書籍

本記事の作成にあたり、栗原毅著『肝臓大復活―100歳まで食・酒を楽しむ「強肝臓」の作り方』(東洋経済新報社)を参考にしました。

同書では、日頃の飲み物や主食の選び方、たんぱく質の取り入れ方など、肝臓の健康を意識した食生活のポイントが分かりやすく解説されています。

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※本記事は書籍の内容を参考に、当サイトが独自に編集・構成したものです。特定の疾病の診断、治療または改善を目的とするものではありません。健康状態に不安のある方や治療中の方は、医師などの専門家にご相談ください。

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