コラム

頭痛・めまいで悩む方、脳脊髄液減少症をご存じですか?その2

前回は、脳脊髄液減少症の仕組みと主な症状についてお伝えしました。
今回はその続きとして、この病気が日常生活にどのような影響を及ぼすのか、どこに相談すればよいのか、そして最新の治療法まで、順を追ってお話しします。正しく診断され適切な治療を受ければ、改善が期待できる病気です。
一人で抱え込まず、ぜひ参考になさってください。

日常生活への影響

脳脊髄液減少症は日常生活に大きく影響します。頭痛や倦怠感のために仕事や学校に行けなくなったり、家事が難しくなったりします。


子どもの場合は、登校の背景に潜むことがあり、親御さんが「怠けているのでは」と誤解してしまうケースも少なくありませんまた、高齢者では「加齢による不調」と片付けられてしまうこともあります。
ふらつきや頭痛、疲労感が長く続くのに原因がわからないときは、一度、脳脊髄液減少症の可能性を考えてみましょう。

どこに相談すればいいのか

脳脊髄液減少症は、すべての医療機関で診断できるわけではありません。専門的な知識と検査設備が必要なため、まずは神経内科や脳神経外科の受診が推奨されます。 厚生労働省が指定する「脳脊髄液減少症研究班」の協力医療機関では、専門的な診断と治療が受けられる体制が整っています。インターネットで「脳脊髄液減少症 専門医」や「医療情報ネット(ナビィ)」と検索すると、地域の情報が得られるでしょう。
診断には時間がかかることもあります。症状の経過や、過去の事故・転倒歴などを簡単なメモにまとめておくと、緊張で伝え忘れたり医師との認識にズレが生じたりするのを防げます。

どのような診断をするの?

診断はまず、問診と症状の確認から始まります。起立性頭痛の有無や、事故・転倒の履歴などが詳しく聞き取られます。次に、MRIやCTなどの画像検査を行い、とくに「脊髄造影検査」では造影剤を用いて髄液の漏れを確認します。

さらに「RI脳槽シンチグラフィー」という特殊検査で髄液の動きを詳しく評価し、診断精度を高めます。
ただし、これらの検査でも漏れがはっきり確認できないことがあるため、症状と経過を総合的に判断することが重要です。実際、病名の確定まで数年を要することも稀ではありません。

最新の治療法は?

治療はまず「保存的療法」から始めます。
安静臥床(横になる)と十分な水分摂取を基本とし、脳脊髄液の漏れが自然に止まれば症状が改善することがあります。保存的療法で改善が乏しい場合は「ブラッドパッチ療法」を行います。
患者さんの血液を脳脊髄液が漏れる部分に注入し、血液が固まって穴をふさぐ方法で、若年層では90%以上の改善が報告されています。局所麻酔下で行われるため体への負担が少なく、入院期間も短めです。
ただし再発することもあるため、治療後の経過観察は欠かせません。

家族や周囲の理解が回復の鍵

この病気は見た目ではわかりにくく、本人のしんどさが周囲に伝わりづらいのが特徴です。
誤解や偏見は精神的負担を強めてしまいます。実際には、脳の位置が物理的に下がることで起こる医学的根拠のある病気です。家族が症状を理解し、無理をさせず、適切な医療機関につなぐことが回復への第一歩になります。
とくに子どもの場合は学校との連携も重要で、医師の診断書に基づく配慮をお願いすることで、安心して療養に専念できる環境が整います。

希望を持って向き合うために

脳脊髄液減少症は診断が難しく、症状もつらいものが多い一方、正しく診断され適切な治療を受ければ改善が期待できる病気です。
保存的療法で自然回復するケースもあるため、焦らず体を休めることが重要です。とりわけブラッドパッチ療法は若年層で高い改善率が報告されており、早期発見・治療が鍵になります。


原因不明の不調に悩む方がいたら、この病気の可能性を念頭に置き、専門医に相談してみてください。家族や周囲の理解と支えがあれば、回復への道のりはぐっと近づくでしょう。

【参考文献】

◯ CSF-JAPAN脳脊髄液減少症ホームページ
◯ 日本脳脊髄液漏出症学会
◯ 文部科学省ホームページ(いわゆる脳脊髄液減少症に関するもの)

※本記事は一般的な健康情報として作成しています。症状にお悩みの方や持病のある方、治療中の方は医師にご相談ください。

 

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