夏本番を迎え、強い日差しと厳しい暑さで体調を崩してしまうことも少なくありません。特に日本の夏は湿度を伴うため、発汗がすっきり行われず体内に熱気がこもりやすくなります。
夏特有の体調不良は暑さと湿度が原因です。きびしい熱の性質を持つ〝暑邪〟が体に入ると頭がボーっとする、体がだるい、食欲がない、暑さでよく眠れない…などの体調不良に見舞われます。
また湿度は胃腸にダメージを与え、働きを低下させます。そこへ追い打ちをかけるのが夏の冷たい飲み物と食べ物。暑くなるとついつい冷たいビールやジュース類を摂りがちになってしまいますが、そうすると胃腸は内側からも冷やされることになり、いっそう働きが落ちてしまいます。
スパイスは胃腸の『お助け神』

冷たいものの取り過ぎで弱った胃腸の活性化を図るためには、機能を整え、温める作用があるスパイスを積極的に摂りいれることです。
生野菜や果物などは水分が多く含まれているため、暑い夏は体にこもった熱を冷やし、取り除いてくれるので心地よいのですが、そのままではどんどん体は冷えてしまいます。その偏りを防いでくれるのがスパイスです。体を温めて発散する働きがあります。
さらに大事なことは胃腸の薬はほとんどがスパイスでつくられているということです。スパイスは冷たい飲食で元気がなくなっている胃腸の〝お助け神〟なのです。
インドの『おふくろの味』
インドの代表的な飲み物といえば「チャイ」。
ホールタイプのフェンネル、カルダモン、シナモンなどを熱湯に入れてしばらく煮たあと、紅茶を加えてさらに煮ます。それに牛乳と砂糖を加えれば出来上がり。食後の口の中をさっぱりさせ、消化を促進し胃を健やかにする優れものです。
そして家庭での食事は数種類のスパイスを配合したガラムマサラを1ヶ月から1年分まとめて作り置きし、これに健康状態や気温・天候などを考慮してスパイスを追加し、その日の「ガラムマサラ」として調理します。その味は母から娘へ伝えられる『おふくろの味』なのです。
家族の健康状態に合わせてスパイスを配合する、まさに〝食医〟ですね。
「東京薬膳研究所」代表。食養・薬膳研究家。1970年代より成人病と食生活の臨床研究に従事し、1986年に渡中。本場中国(四川省)にて高名な薬膳師に師事し、薬膳理論と料理技術を学ぶ。帰国後は日本の気候風土や伝統的な和食文化に合わせた独自の「和食薬膳」を提唱し、長年にわたりその第一人者として日本の薬膳界を牽引する。 『食は薬なり』の教えを広めるため、これまでに数多くのカルチャーセンターでの講師や全国各地での講演活動を行い、後進の育成や薬膳の普及に尽力。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)など多数。


