「発酵」と「酵素」の違いについて、分かりやすく解説するコラムです。発酵は微生物の活動であり、酵素はタンパク質(物質)の一種という根本的な違いから、人間の体内酵素や腸内細菌の代謝産物(生産物質)との関係性まで紐解きます。体に嬉しい植物発酵エキスの魅力もご紹介します。
人間の酵素
人は誰でも体内に酵素を持っています。
食べ物を消化・分解するのは、唾液や胃液、膵液、腸液などに含まれる酵素(たんぱく質、糖質、脂質などを分解する働きを持つもの)です。これが「消化酵素」です。
消化酵素によって小さく分解された栄養素は、主に小腸から毛細血管やリンパ管へと吸収され、全身の組織や細胞に届けられます。
これに対し、「代謝酵素」というものもあります。細胞内でエネルギーを作り出したり、老廃物の排出をサポートしたり、傷ついた細胞の再生を助けたりするなど、生命維持のために日々働いています。私たちが呼吸をしたり心臓を動かしたりできるのも、代謝酵素をはじめとするさまざまな生体反応のおかげです。
こうした酵素の働きは、人間だけでなく動物たち(牛やネズミ、昆虫などの生き物全般)にも備わっています。
では、目に見えないほど小さな細菌や微生物はどうでしょう?
もちろん、彼らも酵素を持っています。食べ物を取り込んで活動し生きていくために、消化や代謝の仕組みが必要だからです。
菌の酵素とは!?
細菌や微生物と、私たちの関係についてお話ししましょう。
皆さんがよく耳にする「腸内細菌」にも、多様な菌が存在しています。
彼らは、人が食べたものを栄養源とし、自身の酵素を使って分解・代謝を行い、さまざまな成分を作り出します。
例えば、腸内に棲む多様な細菌群は、ビタミン類を生み出したり、悪玉菌の増殖を防ぐ「乳酸」や「酪酸」といった有機酸を作り出したりしています。このように、菌の働きによって生み出された成分を「生産物質」あるいは「代謝産物(ポストバイオティクス)」と呼びます。
私たちが食べた栄養素は腸から吸収されて血液中を巡りますが、実はこの中には、人間の消化酵素で分解されたものだけでなく、腸内細菌が生み出した代謝産物も数多く含まれています。これらが私たちの健やかな体づくりや、生き生きとした毎日を支えてくれています。
さらに、野菜や果物に含まれるポリフェノールやフラボノイドなどの「ファイトケミカル」には、分子が大きいために人間の力だけでは吸収しにくいものもあります。そうした成分を腸内細菌が細かく分解してくれることで、体内にスムーズに吸収され、細胞へ届けられるようになります。
このように、腸内細菌は私たちの健康や美しさを維持するために欠かせない存在です。若々しさを保つためにも、腸内環境(フローラ)を整える生活を意識することがとても大切です。
なお、腸内細菌は繊細なバランスで成り立っています。食生活の偏りや過度なストレスなどは、腸内環境の乱れにつながることがあります。日頃からバランスの良い食事を心がけ、必要な医薬品は医師の指示に従って正しく服用しながら、お腹の健康を守っていきましょう。
発酵と酵素
人類は昔から、「発酵」という形で菌の酵素の力を知恵として利用してきました。
日本の伝統的な食文化には、ぬか漬けや納豆、味噌、醤油、かつお節、お酢、甘酒、日本酒などが豊富にあります。これらは微生物(発酵菌)の酵素作用によって素材の旨味や栄養が高められた発酵食品です。昔の人は経験的に、これらの食品が体に良いことを実感し、重宝してきました。
複合植物発酵エキス(植物発酵エキス)とは?
さまざまな植物原材料を使い、その良さを最大限に引き出すために、数ヶ月から年単位の時間をかけて発酵菌の働き(酵素反応)でじっくりと分解・熟成させたものが「植物発酵エキス」です。
発酵の過程で原料の栄養素が小さく分解され、豊富な代謝産物が凝縮されたエキスは、日々の健康維持やインナーケアを力強くサポートしてくれます。
次のコラム 「植物発酵エキスを、なぜ「酵素」と呼ぶの?」 では、この疑問をさらに深堀していきますので、ぜひ、あわせてご一読くださいませ。
参考文献
・ポストバイオティクス:機能性バイオティクスの最新カテゴリーに関する洞察に満ちたレビュー【World Journal of Microbiology and Biotechnology 2025年8月号】
・「発酵の不思議」 【農林水産省ウェブサイト】
・「発酵」と「腐敗」の違いは何で決まる? 【東京薬科大学 生命科学部ウェブサイト】
酵素歴は、5歳の時より60年。
現在、健康・栄養学関係の書物を買い漁り、読むはずが積ん読状態。
飽食の時代、多くの食べ物が「病気へと導く源」になっていることを危惧。
健康には運動も欠かせないと言いつつ、コロナ禍より運動不足。
孫娘に「じぃじぃ、お腹でてるよ」とレッドカードを出される(^ω^)・・・

