コラム

「ちょっとした転倒」が命とりに その2

前回は、春先の転倒リスクと、中高年こそ警戒すべき「外傷性くも膜下出血」のメカニズムについてお伝えしました。加齢による脳の萎縮や、血管を詰まらせないための「血液サラサラの薬」が、皮肉にも頭を打った際の重症化リスクを高めてしまうという事実は、決して他人事ではありません。
続く今回は、万が一頭を打ってしまった時に「命を守る分かれ道」となる具体的なサインと、今日からできる転倒予防策について解説します。「たんこぶ程度だから」という自己判断がなぜ危険なのか、その理由をしっかり確認していきましょう。

全世代で警戒を!乳幼児の事例

このリスクは中高年に限りません。
じつは、抱っこ紐からの落下や、公園の遊具、ソファからの転落といった日常の些細な事故で「外傷性くも膜下出血」を起こす乳幼児も少なくありません。

小さな子供は自分の異変を言葉で伝えられません。「いつもと様子が違う」「泣き方が激しい、あるいはぐったりしている」といったサインを見逃さないことが、家族を守ることに繋がります。

見逃さないで!危険な症状と迅速な対応

外傷性くも膜下出血の症状は、非外傷性に比べて初期には軽微であることがあります。そのため、自己判断せずに「いつもと違う」と感じたら、すぐに医療機関を受診することが、命とその後の健康を守る鍵となります。
頭を打った後に、次の症状が一つでも現れた場合は、すぐ救急車を呼ぶか、脳神経外科を受診してください。

頭を打った直後は元気に見えても、数時間から数日経ってから症状が悪化することがあります。これは、出血がゆっくりと進行している可能性があるためです。
頭を打った後にしばらく経ってから、手足の力が入らない(麻痺)、ろれつが回らない、あるいは強い眠気が襲ってきた場合は、時間差で進行する病態を疑い、直ちに受診が必要です。
前述した通り血液サラサラ薬を飲んでいる方は、とくにこの時間差に注意し、念のため病院で検査を受けましょう。

今日からできる転倒対策

外傷性くも膜下出血を防ぐ最善策は「転倒しないこと」です。日々の生活で、次の3つの対策を実践しましょう。
①住まいの環境整備
自宅内での転倒が最も多いため、カーペットの段差や電気コードなど、つまずきやすいものを取り除きましょう。
階段・浴室・トイレには手すりを設置し、夜間は足元を照らす常夜灯を活用してください。
②身体機能の維持
ウォーキングやストレッチ、軽い筋力トレーニングを日課にし、足腰の筋力を保ちましょう。
片足立ちなどのバランス訓練も有効です。また、血圧を管理し、メニエール病など、ふらつきやめまいの原因となる持病は放置しないようにしましょう。
③服薬の管理と共有
血液をサラサラにする薬を服用している方は、自己判断で中断せず、服用中であることを家族や身近な人に伝えておきましょう。
万が一の際、この情報が救命につながります。降圧剤や睡眠導入剤などを服用して、めまいや転倒の経験がある場合は、薬の調整も含めて主治医に相談しましょう。

安全への意識が、健康を守る

外傷性くも膜下出血は、受傷すると体に麻痺が残ったり、脳梗塞や脳出血を起こしやすくなったり、命に関わる場合もあるため油断禁物です。
私たちの日常に潜む静かなる危険です。加齢による体の変化を理解し、転倒という最も身近なリスクを徹底的に排除することが、健康生活を維持する鍵となります。
読者の方々が、いつまでも安心で活動的な毎日を送れるよう、この記事が安全への意識を高める一歩となることを願っています。
頭の安全を守る意識を常に持ち、充実した日々をお送りくださいませ。

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