春先からゴールデンウィークまでは飲食を伴う集まりが続き、夜遅くまで外出する機会が増えます。地域によってはまだ路面の凍結や濡れていることも多く、とくに飲酒後はバランス感覚が鈍り転倒しやすくなります。
この時季、転倒による頭部外傷で救急搬送される方は夏場の約1.5倍に増加します。中でも中高年層に警戒が必要なのが「外傷性くも膜下出血」。
脳内での静かな出血で、初期には痛みや違和感がほとんどないため見過ごされがちです。
まずはチェックしましょう
次の項目に1つでも当てはまる方は、万が一の事態に備えるため最後までお読みください。

加齢に伴い出血リスクが増加
40代以降、私たちは体の変化を感じ始めます。体力やバランス感覚は若い頃とは異なり、生活習慣病の薬を飲み始める方も増えていきます。年末からゴールデンウィークにかけてとくに警戒すべき頭のケガが「外傷性くも膜下出血」です。

「くも膜下出血」と聞くと、突然激しい頭痛に襲われる脳動脈瘤の破裂を想像しがちです。しかし、この外傷性くも膜下出血は、転倒や頭の打撲など、外部からの衝撃が原因で発生します。

「たんこぶ程度なら大丈夫」「ちょっと打っただけだから、たいしたことはない」と見過ごしがちな軽いケガが、じつは脳の中で深刻な出血を引き起こしている可能性があるのです。
中高年の方々にとっては、この病態は単なるケガでは済みません。なぜなら、加齢に伴う身体の変化が、この出血のリスクを格段に高めているからです。
脳を守る仕組みと、外傷性くも膜下出血
脳は硬い頭蓋骨の内部で、硬膜、くも膜、軟膜の三層の膜に保護されています。このうち、くも膜と軟膜の間にある空間が「くも膜下腔」です。

ここには、脳を衝撃から守る脳脊髄液が満たされていて、脳表面にはたくさんの血管が走っています。
外傷性くも膜下出血は、頭部への強い衝撃により、脳表面の細い血管が損傷し、出血がくも膜下腔に流れ込むことで発生します。
出血量が少なく症状が軽度であったり、時間差で現れる場合もあります。「ちょっと頭を打ったくらいだから」と、自覚症状だけで軽視することは非常に危険です。
なぜ軽い転倒でも危険なのか?
①脳の萎縮が引き起こす物理的な脆弱性
年齢を重ねると、脳は誰でも少しずつ小さくなる「脳の萎縮」が起こります。これにより、脳と頭蓋骨の間にわずかな隙間ができます。
若い頃は頭蓋骨に密着していた脳が、この隙間のせいで、転倒などの衝撃を受けた際に大きく揺れやすくなってしまうのです。この揺れによって、脳の表面を繋ぐ血管が引っ張られ、わずかな衝撃でも容易に出血してしまう状態になります。
これは、脳の健康状態に関わらず、加齢とともに進む物理的な変化であり、中高年全員が認識しておくべきリスクです。
②血液をサラサラにする薬の影響
心筋梗塞や脳梗塞の予防のために「抗血小板薬」や「抗凝固薬」などの血液をサラサラにする薬を服用している方は、とくに警戒が必要です。
これらの薬は、血管が詰まるのを防ぐ治療で使われますが、脳内で出血が起こると止まりにくくなり、少量の使用でも流血が広がりやすいという大きな欠点があります。

そのため、軽い打撲であっても、薬を服用していない人に比べて重症化する可能性が格段に高まります。
薬を飲んでいる方は、常に「自分はケガをしてはいけない」という意識を持ちましょう。
③転倒リスクの複合的な増加
加齢に伴う足腰の筋力低下、バランス感覚の衰え、そして白内障などの視覚の変化が組み合わさり、中高年は転倒しやすい状態にあります。
さらに、血圧を下げる薬や睡眠導入剤などの服用が、立ちくらみやふらつきを引き起こし、転ぶ危険性をさらに高めます。外傷性くも膜下出血の最大の原因は「転倒」であり、これらの要因が絡み合ってリスクを高めているのです。
次回は「ちょっとした転倒」が命とりに その2「見逃さないで!危険な症状と迅速な対応」に続きます。
健康管理士の松渓(マッケイ)と申します! 若い頃はスキー三昧の日々を送っていましたが大ケガをして引退。そこから健康のありがたみに目覚めました。皆さまの日々の暮らしに「ちょっと役立つ」情報を随時発信していきますので、参考にしていただければ幸いです。
残念ながら、25年ほど健康関連の業界に身をおく私からすると、世にあふれる健康情報の中には「?」と首をかしげたくなる内容も。そのため、つい辛辣な言葉もでてしまうことがあると思いますが、どうかご容赦くださいませ。

