コラム

10月10日は目の愛護デー!「見えにくい」「歪んで見える」って老化なの?

新聞の文字が読みづらい。画面の端がぼやける。物が歪んで見える。
こうした声は、とくに50歳を過ぎた頃から口にするようになったのではないでしょうか。
多くの人が、「年を取ったから仕方ない」と受け止め、そのままにしてしまうことがほとんどです。
今回は目の諸症状のおさらいと、最近、日本でも急増している糖尿病性網膜症について二回に分けお話しいたします。

大切な目を守るため

目に現れるさまざまな症状は、決して「歳のせい」だけではありません。
じつは、失明につながる重大な目の病気の初期サインである可能性があるのです。
白内障、緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症…どれも、自覚症状が乏しいまま進行し、気づいたときには手遅れというケースも少なくありません。
大切な視力を守るためには、「どうしようもないこと」と諦めるのではなく、「今、できること」を考えることが何より大切です。

目に潜む見えない敵「酸化ストレス」

私たちの体は、呼吸や紫外線、ストレス、食生活などによって、日々「活性酸素」という有害な物質を生み出しています。
この活性酸素は細胞を傷つけ、老化や病気の原因となる「酸化ストレス」を引き起こします。
目の組織は、光や酸素に常にさらされており、とくに酸化ストレスを受けやすい臓器です。


このストレスが長年蓄積されると、白内障や緑内障、加齢黄斑変性症といった病気の発症や進行に関わっていることが、近年の研究で明らかになっています。
では、どうすればこの「見えない敵」から目を守れるのでしょうか?
その鍵を握るのが、「抗酸化物質」です。

果物や緑黄色野菜が持つ色の力の真価

植物由来の成分であるフラボノイドやカロテノイドは、強力な抗酸化作用を持ち、目の組織を守る働きがあるとされています。2025年6月に科学雑誌『NatureFood』に掲載された大規模な研究では、多種多様なフラボノイドを摂取する人ほど心臓病や糖尿病、がん、神経変性疾患のリスクが有意に低下することが示されました。
これは、目の健康にも直結する重要な知見なのです。日本人の失明原因第1位の「緑内障」、欧米でのトップを占める「加齢黄斑変性症」。これらも、酸化ストレスとの関連が指摘されています。


つまり、毎日の食卓にお茶やコーヒー、ベリー類やリンゴ、にんじん、ほうれん草、納豆といった色とりどりの食材を意識的に取り入れることは、単なる健康志向ではなく、目の未来を守る具体的な行動なのです。
サプリメントに頼るより、日常の食事でバランスよく摂ることが、何よりの予防法です。

「飛蚊症」や「歪み」は、本当に大丈夫?

「視界に黒い点が飛ぶ」「糸くずのようなものが漂っている」。
これは「飛蚊症」と呼ばれる症状です。多くの場合、眼球内のゼリー状の組織「硝子体」が加齢で縮むことで起こる、ごく普通の老化現象です。
しかし、安心するのはまだ早いです。この症状が、網膜裂孔や網膜剥離の前兆であることも少なくありません。


とくに、症状が急に現れた、光がチカチカ見える(光視症)、痛みを伴う場合は、眼科受診が必要です。放置すれば、失明することもあり得ます。
また、「遠くがぼやけて見える」という症状は、近視の典型ですが、子どもの場合は眼軸が伸びて強度近視になるリスクが高まります。

これは単にメガネが必要になるだけではなく、将来、網膜剥離や緑内障のリスクが数十倍になることもわかっています。
予防のカギは、1日2時間以上の屋外活動。太陽の光に含まれる「バイオレットライト」が、眼軸の伸びを抑える効果があるのです。

次号に続きます。

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