
前回は、老化の最大の原因となる「酸化」と「糖化」、そして女性ホルモンと食事の関係についてお伝えしました。
今回は、美容や健康の話題でよく耳にする「コラーゲン」の本当の働きや、お酒と健康の意外な真実について深掘りしていきましょう。
美肌の鍵はコラーゲンよりも「消化」と「血流」
「コラーゲンを食べると肌がプルプルになる」と聞いたことはありませんか?一時期、コラーゲンの塊を入れた鍋が流行したり、コラーゲン入りのドリンクがブームになったりしました。
確かに、皮膚の大部分はコラーゲンでできているので、コラーゲンがプルプル肌の元であることは間違いありません。
しかし、残念ながらコラーゲンを食べたからといって、そのまま肌に直送されるわけではないのです。
1.栄養の吸収は「消化」作業から
塩分や水分など分子が小さいものはそのまま吸収されますが、タンパク質の一種であるコラーゲンのように分子が大きい栄養分は、そのままでは吸収できません。
私たちの身体には、食べたものを吸収可能なサイズにまで分解する「消化」という素晴らしい工程が備わっています。
- 食べ物はまず、歯で噛み砕かれ、唾液と混ざり合います。
- 次に胃液や膵液などの消化液によって、ブドウ糖やアミノ酸、脂肪酸などの細胞の再生に必要な栄養成分にまで分解されます。
- この分解された栄養成分が、ようやく身体に吸収されるのです。
分子が大きいコラーゲンも例外ではありません。そのままの形では吸収されず、アミノ酸にまで分解されて初めて、身体の各部位で必要とされるタンパク質(コラーゲンを含む)の材料として使われるのです。
2.栄養を届ける「血のめぐり」がすべて
消化によって分解された栄養成分は、肝臓へと運ばれ、血液中に取り込まれます。そして心臓という強力なポンプによって、毎分5リットルもの勢いで全身に送り出されます。
血のめぐりは非常に合理的にできていて、細胞をつくるための栄養を届けた後、いらなくなった古い細胞や二酸化炭素といった老廃物を回収して持ち帰ります。
この一連の流れが加齢によって滞ってしまうと、血流が悪くなり、栄養が全身にうまく運ばれなくなります。
その結果、老廃物が溜まりやすくなり、肌の不調だけでなく、肩こりや関節痛、さらには動脈硬化や脳梗塞になるリスクも高まってしまうのです。
いかに血のめぐりが大事なのか、お分かりいただけたでしょうか。
コラーゲンを摂取することも大切ですが、それをスムーズに吸収・運搬できる身体の状態を保つことの方が、美肌への近道と言えるでしょう。
こだわりの化粧水が高値なワケ
「化粧水で肌に直接栄養を届けたりはできないの?」そう思う方もいらっしゃるでしょう。
もし肌のコンディションが悪いところに直接有効成分を送り込めるなら、こんなに楽なことはありません。
しかし残念ながら、多くの成分は肌に塗っても深部組織には到達しません。
人間の皮膚は、外部から異物がむやみに入り込まないよう、強固なバリア機能を備えているからです。真皮まで入り込むには、化粧水の分子は大きすぎるのです。
高価な化粧品の多くは、その原料のほとんどが水です。価格が高いのは、容器代や広告費にお金がかかっていることが理由の一つかもしれません。保湿を目的にした使用であれば、白色ワセリンを少量つけるだけでも十分に効果がある場合もあります。
お酒と健康の真実
「仕事終わりのビールはやめられない!」という方も多いのではないでしょうか。
昔から「酒は百薬の長」と言われ、適量なら身体に良いと信じられてきました。
しかし、この説に疑問が投げかけられています。
1.お酒に「適量」はあるのか?
2018年に世界的に権威のある医学雑誌『ランセット』で「少量であっても酒は害になる」という衝撃的な主旨の論文が発表されました。赤ワインで心疾患のリスクが下がったとしても、発がんなどの他のリスクが高まってしまうというのです。
この研究結果は、「お酒で健康」という説を大きく揺るがしました。お酒好きにはちょっとショックな話かもしれませんね。
また、日本人には、体内に入ったアルコールを分解する酵素の働きが弱い人が多いと言われています。健康のためと無理にお酒を飲むと、アルコールの悪影響を受けやすくなるため注意が必要です。
2.フレンチパラドックスの真相
「フレンチパラドックス」という言葉をご存知でしょうか。これは、「肉やバター、チーズなどの飽和脂肪酸たっぷりのフランス料理を食べているフランス人が、なぜか心臓病にかかる割合が他の欧米先進国に比べて少ない」という矛盾を指摘した言葉です。
この理由として、抗酸化作用をもつ赤ワインを日常的に飲んでいるから、という研究結果が発表されています。
でも、飲み過ぎには要注意ですよ。
今回のメルマガはいかがでしたか?
健康で美しい身体を保つには、外側からのケアだけでなく、内側からのケアが何より大切です。日々の食事や生活習慣を少しずつ見直して、身体が喜ぶ選択をしていきましょう。