コラム

免疫力を高めすぎていませんか?免疫を暴走させずに最適化する方法

寒くなると「免疫力を高めよう」というキャッチコピーをよく見かけますよね。インフルエンザの流行も気になる季節、つい“免疫は高ければ高いほど良い”と思いがちです。

でも、実は免疫が強く働きすぎると、アレルギーや肌荒れなどの不調につながることも。大切なのは、免疫を無理なく“ちょうどよい状態”に整えること。今回はその仕組みと、日々の生活でできる最適化のコツをご紹介します。

免疫力は「高めすぎる」と暴走する

腸内環境を整えることは、肌の健康だけでなく、私たちの生命維持に関わる「免疫」の働きを最適化する上でも不可欠です。

近年、メディアなどで「免疫力を高める」という言葉がよく使われますが、最新の知見では、免疫力はただ強ければ良いというわけではありません。免疫力は「整える(最適化する)」ことが大切です。

免疫の「暴走」が引き起こす弊害

免疫力が高すぎると、免疫システムが暴走し、過剰な反応を引き起こしてしまいます。

私たちの体には、
・最初に異物を撃退する「自然免疫」
・過去に入った異物を記憶して対応する「獲得免疫」
という二つの免疫があります。

本来は、害があるものにはしっかり反応し、害のないものには落ち着いて対応する「ブレーキ」の役割があるのですが、腸内環境が乱れるとこのブレーキが効かなくなります。

その結果、次のようなトラブルが起こります。

1. アレルギー反応:本来無害なものに過剰反応

花粉症や食物アレルギーは、免疫が「必要以上にがんばりすぎている」状態です。本当は無害な花粉や食べ物を“敵”と勘違いしてしまい、強い炎症を起こしてしまうのです。

2. サイトカインストーム:免疫が自分を攻撃してしまう

ウイルス感染などの際、体を守るための物質(サイトカイン)が大量に出すぎると、体のあちこちに炎症が広がり、自分自身の細胞まで攻撃することがあります。
新型コロナの重症化でも、この仕組みが問題になりました。

免疫が暴走する原因は「腸の教育不足」

なぜ免疫は暴走してしまうのでしょうか。その理由は、腸内環境のバランスが崩れてしまうことにあります。
腸内細菌は、免疫細胞に「これは敵」「これは味方」と判断するための“教育”をしています。

腸内細菌の種類が減ったり、悪玉菌が増えると、この教育がうまくいかなくなり、

・免疫が過剰に働く(アレルギーなど)
・逆に守りが弱くなる(感染しやすい)

といったトラブルが起こりやすくなります。

免疫を最適化する生活習慣

免疫の暴走を抑え最適化するには、腸と密接な関係にある自律神経を調える習慣を取り入れることも大切です。

自律神経は交感神経と副交感神経の2つがあり、私たちの体をリラックスモード(副交感神経)にしたり、緊張状態(交感神経)にしたりといったスイッチのような働きをしています。

自律神経を整えると腸内環境も整いやすくなり、 免疫バランスも落ち着くという理想的なサイクルへとつなげられます。

1. 朝は「ゆるやかにスイッチを入れる」時間

朝は、一日の中で“リラックス状態から活動モードへ”と移行する大事なタイミングです。

● 深呼吸+軽い動きで目覚めの準備を

起きたら、まずは大きく深呼吸。そこに、伸びをするような軽いストレッチや、パチパチとまばたきを増やすだけでもOK!

体を急に動かすのではなく、「さあ起きるよ」と体に知らせることで、自然と交感神経が働き始めます。

● 朝日を浴びながら5~10分歩く

できれば外に出て、太陽の光を浴びながらの短いウォーキングがおすすめ。光と外気に触れることで脳がしっかり起き、五感が刺激され、自律神経の切り替えがスムーズになります。

● 朝食で腸をスイッチオン!

腸には免疫細胞がたくさんあり、朝食を摂ることで腸の大きな動き(大ぜん動)が起こりやすくなります。
忙しい朝でも、ヨーグルトや温かい飲み物だけでも「胃に何か入れる」ことが大切。これだけで腸が動き出し、排便のリズムも整いやすくなります。

さらに腸内環境を意識した朝食を摂りたいならポストバイオティクス(発酵菌生産物質)が豊富な発酵食品や善玉菌を増やす発酵性食物繊維(水溶性食物繊維)などを含む食品がおすすめです。

例えば、納豆や野菜や海藻を具にした味噌汁や、オートミールとヨーグルトなどの組み合わせは発酵食品と食物繊維を同時にバランスよく補えます。

2. 夜は「しっかり休む準備」をする時間

一日の終わりには、副交感神経に切り替えて体をゆるめることがポイントです。

● ぬるめのお風呂で深いリラックスを

シャワーだけで済ませている人は、週に数日だけでも湯船に浸かる習慣を取り入れましょう。

37〜39℃くらいのぬるめのお湯に10分ほど浸かると、体の緊張がふっと抜け、副交感神経が優位になります。逆に42℃以上の熱いお湯は体が興奮してしまい、夜に向けてはNGなので気をつけましょう。

● 夜10時以降は強い光を避ける

夜遅い時間の強い光は、脳が「まだ昼間だ」と勘違いしてしまい、睡眠を誘うメラトニンの分泌を妨げます。
できるだけ照明を落として、画面の明るさも控えめにするのがおすすめです。

お仕事でどうしても遅くなる場合は、部屋の電気を少し暗めにしたり、寝る準備の時間を意識してつくると良いですよ。

美と健康を育む免疫に整えよう

腸を整える食事や規則正しい生活は、肌の輝きを取り戻し病気に負けないバランスの取れた強い体を作るための最高の健康法と言えるでしょう。

腸内細菌は、私たちの肌の調子を左右し、さらに体の防御システムである免疫を教育し、制御する、健康の司令塔とも言える存在です。

免疫を最適化するには、「高める」ことに執着せず、「整える」ことを意識し、ポストバイオティクス(死菌含む)やオメガ3脂肪酸を活用して、免疫細胞のバランスを保つことが大切です。

腸内環境や自律神経のバランスは、すぐに劇的に変わるものではありませんが、日々の食事や生活習慣を少しずつ改善していくことで、必ず良い方向へ変化していきます。

花粉症などのアレルギー対策にこちらの記事もおすすめ
【腸活】薬に頼らずアレルギー撃退!育菌で腸内環境を整えよう

 

評価をお願いします

最近の記事