コラム

「心の姿勢」で健康寿命を延ばす

日本は世界保健機関(WHO)の発表(2024年版)で、平均寿命84.3歳と世界1位を誇る長寿大国です。しかし、この素晴らしい事実の裏には、課題があります。それが、健康寿命との大きな差です。

健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく送れる期間」を指します。現在、日本の健康寿命は男性で72.6歳、女性で75.5歳とされており、平均寿命との間に男性で約8年、女性で約9年という大きな隔たりがあります。

この差は、日常生活に制限がある、「不健康な期間」を意味します。
長生きを喜ばしいものとするためには、この不健康な期間をいかに短縮し、健康寿命を延ばすか、ということが最重要課題です。

実際、現代の若い学生に100歳まで生きたいかアンケートをとると、43%が「いいえ」と回答しています。これは、日本が高齢者の認知症患者数が多い国の一つであるという現状が、不安の根源にあるようです。

長寿の鍵は、健康な身体と『精神力』の両輪です。
奈良時代から明治末期頃まで、日本人の平均寿命がおよそ40歳だった時代に、厳しい戒律を守る僧侶の寿命が長かったのは、節度ある食生活に加え、信仰心によって培われた精神力が深く関係していると考えられています。

幸せは歩くことから

健康長寿を幸せに歩むためには、日常的な運動が欠かせません。

「幸せは歩くことから」とも言えるように、最も手軽で効果的な方法の一つが、ウォーキングです。
ウォーキングには、心肺機能の向上、筋力の維持、骨密度の維持、生活習慣病の予防など、医学的に証明された様々なメリットがあります。また、ストレス解消やリフレッシュ効果も期待できます。

厚生労働省の推奨する1日の歩数の目安は、男性で約9,000歩、女性で約8,500歩とされていますが、現代人の平均歩数はこれに届いていません。
無理のない範囲で、毎日少しずつ歩く習慣を意識的に取り入れることが、健康長寿への確かな第一歩となります。

また、長寿者の多くは、明るく前向きな性格で、人との交流を楽しんでいるという共通点があります。
定年退職後も、ボランティア活動や趣味のサークルなどに参加し、社会とのつながりを持ち続けることで、生きがいを感じ、心身の健康を保つことができます。

心と体の栄養:朝食とポジティブな姿勢

長寿者は規則正しい生活リズムを保ち、適度な運動を続けていますが、「心の姿勢」も健康を左右します。
私たちは豊かなものの見方に目を向け、「○○ができない」ではなく「○○ならできる」と考えるポジティブな思考を意識的に持つべきです。日々の小さな喜びを大切にし、感謝の気持ちを忘れないこと。これが、充実した幸せな人生への第一歩なのかもしれません。

そして、その心のエネルギー源となるのが朝食です。
朝食を抜くと、午前中の集中力が低下し、仕事や勉強の効率が悪化します。

さらに、昼食での食べ過ぎによる肥満や、長期的な糖尿病や心臓病のリスクの上昇も指摘されています。
時間がない場合でも、バナナ1本とヨーグルト、おにぎりとお味噌汁など、簡単なものでも構いません。
大切なのは、毎日朝食を食べる習慣をつけることです。

メンタルヘルスを支えるマインドフルネスの実践

健康な体を保ち、質の高い睡眠を取ることで、より豊かな人生を送ることができますが、そのためには、ストレス管理は欠かせません。

マインドフルネスは、過去や未来の不安にとらわれず、「今、この瞬間」に意識を集中することで、心を癒すための活動です。

これは、僧侶が培ってきた『精神力』を、現代人が科学的な手法で取り戻すためのアプローチとも言えます。

マインドフルネスの実践方法(1日2分から)

・特別な準備は不要です。自身がいちばんリラックスできる体勢で行ってください。

・姿勢を正し、ゆったりとリラックスした体勢を保ちます。

・自分自身の自然な呼吸に意識を置きます。

・無意識で何かを考えた場合、その考えを否定せず受け入れ、再び呼吸に意識を戻してください。

この活動を1日1回2分程度からで良いので、日常に取り入れることが、心身のバランスを保つ秘訣となります。

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