コラム

夏の思い出を守る!虫刺されから家族をガードする安心ガイド

夏は家族でキャンプや川遊びを楽しむ絶好の季節です。しかし、楽しいお出かけには虫刺されという注意すべき問題があります。
虫刺されは「ちょっとかゆいだけ」と軽く考えがちですが、実は重いアレルギー反応や感染症の原因となることもあります。
とくに小さなお子さんや高齢の方は症状が重くなりやすいため、より注意が必要です。しかし、正しい知識と対策法を知っていれば、家族みんなが安心して夏を楽しめますね。今回は虫刺されについてお話しします。

 

注意したい危険な虫たち

ハチはスズメバチがもっとも危険で、体が大きく攻撃性が高いため注意が必要です。
ハチの巣には絶対に近づかず、巣の近くで「カチカチ!カチカチ!」といったアゴを鳴らす警戒音が聞こえたら身を低くして静かに離れましょう。

ムカデは虫ではありませんが危険性は変わりません。咬まれると毒牙が刺さった瞬間に激しい痛みが走り、皮膚が赤く腫れます。痛みは数時間で治まりますが、翌日以降にかゆみやしびれ、赤みが出ることもあります。まれに蕁麻疹や呼吸困難、めまいなどの強いアレルギー反応や、アナフィラキシーショックを起こすこともあるので、異変を感じたらすぐに受診しましょう。

マダニは山間部や草地に生息し、刺されても痛みを感じにくいのが特徴です。
日本紅斑熱や重症熱性血小板減少症候群といった死亡する可能性のある感染症を媒介する危険があります。マダニを発見しても手で取らず、必ず皮膚科を受診して専用器具で取り除いてもらいましょう。

ブヨ(ブユ)は川の流れがある山間部に生息し、朝夕に活動します。刺された直後は痛みがありませんが、翌日から大きく腫れて激しいかゆみを伴います。
(写真は吸血中のブユ)

毛虫はツバキやサザンカ、サクラなどに発生し、毒針毛や毒のトゲを持っています。触れてしまった場合は、ガムテープで毒針毛を取り除き、シャワーを浴びて石鹸で洗い流しましょう。

は地球上で最も人間を殺している「人類の敵」です。蚊に刺されて激しい腫れ、血ぶくれ、発熱、リンパ節の腫れなどが起きる「蚊刺過敏症」という病気があります。EBウイルス感染が関係しており、症状がひどい場合は皮膚科の受診が必要です。デング熱や日本脳炎などの感染症を媒介する可能性があるため、水たまりをなくして繁殖を防ぐことが大切です。

虫に刺されたときの体の反応

虫に刺された後の反応には二つのパターンがあります。
一つ目は刺された直後から患部が赤く腫れて、強いかゆみや痛みを感じる「すぐに現れる反応(即時型アレルギー)」で、多くの場合は数時間で落ち着きます。
二つ目は刺されてから数時間から数日後に現れる「時間が経ってからの反応(遅延型アレルギー)」で、腫れや痛み、熱を持つこともあります。

子どもは大人より症状が強く出やすく、治りにくいのが特徴です。
ハチやムカデの場合は要注意。刺されるたびに体内にアレルギー物質が作られ、次に刺されたときにより重い反応を起こす可能性があります。

命に関わる危険な反応「アナフィラキシー」

最も警戒すべきなのが、ハチの毒などが原因で起こる「アナフィラキシー」という全身性の重いアレルギー反応です。
過去に同じ種類のハチに刺された経験がある方が二度目に刺されると、体が過剰に反応してしまいます。症状は突然現れ、全身のかゆみ、じんましん、吐き気、息苦しさ、めまい、意識がもうろうとするなどが起こります。これは命に関わる非常に危険な状態です。

このような症状が見られたら、迷わずすぐに救急車(119番)を呼びましょう。 アドレナリン自己注射薬「エピペン」をお持ちの場合は、救急車が到着するまでに太ももの筋肉に注射してください。
※エピペンは、キャンプ場や宿泊施設によっては常備している場合があります。入場時に確認すると良いでしょう。
キャンプ場でよく目にするスズメバチは集団で襲うことがあり、一度に複数箇所を刺されると、アレルギー体質でない方でもアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。

虫に刺されたときの対処法

<基本の手順>
まず安全な場所に移動する
患部をきれいな水で洗い流す
氷や保冷剤で冷やす(炎症とかゆみが和らぎます)
虫の針や毛が残っていたら、ピンセットやセロハンテープで慎重に取り除く
強いかゆみには薬局のかゆみ止め軟膏を使用
症状が治まらない場合や全身に広がった場合は、迷わず医療機関を受診してください。

虫刺されを防ぐための準備
<服装のポイント>
長袖のシャツ、長ズボン、帽子を着用
ズボンの裾は靴下にしっかり入れる
首元にタオル、手袋も効果的
白っぽい色や薄い色を選ぶ(黒や紺色は虫が寄ってきます)

<その他の注意点>
香水や整髪料は控える(とくにハチが寄ってきます)
虫よけスプレー(ディートやイカリジン配合)を使用
小さなお子さんには年齢制限を確認してから使用
汗をこまめに拭き取り、体を清潔に保つ

安全で楽しい夏を過ごすために

自然は多くの恵みをもたらしますが、予測できない危険もひそんでいます。
虫刺されは身近なリスクだからこそ、正しい知識と予防策を身につけることが大切です。
自然の中で安全に過ごすための「備え」を習慣にして、家族みんなが安心して楽しいアウトドアライフを送りましょう。

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