
いよいよ、本格的な夏の訪れが近づいています。
今年も、災害級の猛暑になりそうな予感がすでにしますね。
現代は暑さだけではなく、冷やしすぎによる弊害にも注意が必要です。
冷房の効きすぎなどによって生じる直接的な冷えのトラブル(凝り・関節痛・倦怠感など)や、室内外の急激な温度変化は自律神経の働きを乱してしまうため、低血圧や頭痛、めまい・しびれなどの症状も夏に起こりやすいのが特徴。
また暑さによって冷たい飲み物を摂りすぎると、胃腸は冷え、水滞によってむくみも増すことになります。
「湿邪」によって生じるさまざまな症状を助長させることになるのです。
以前の記事を読む… 湿邪と暑邪の対策レシピ
湿邪による皮膚からの蒸泄の弊害を緩和するために、発汗・発散作用のある食材がおすすめです。
湿気は汗腺を覆い、汗を出しにくくします。発汗がうまくいかなければ、心臓にも大きく負担がかかります。
体内の余計な水分や湿気を上手に排出するために、スパイスや香辛料などの食べ物を意識的に摂りましょう。
気の巡りを良くして湿気を散らす作用のある、ハーブや柑橘系など芳香のある食材もおすすめです。
これらの食材は同時に、胃腸系の働きを促し、食欲を増す作用を持つので、胃腸系のさまざまな不調を緩和するのにも役立ちます。
クミンスープ
①好きな野菜(今回はニンジン、トマト、ヤングコーン、ジャガイモ、玉ねぎ)を全て一口大の大きさに切り揃える。
②オリーブオイルを鍋にひいて熱し、トマト以外の野菜を入れて軽く炒める。
③野菜を鍋の端に寄せて、空いたスペースにクミンパウダー小さじ1程度を入れて軽く炒める(粉っぽさをなくすため)。
④水と固形ブイヨンを入れて野菜に火が通るまで煮込み、トマトを入れてさらに軽く煮込む。
⑤塩と胡椒で味を整えたら完成。
大葉のガパオライス風
①玉ねぎ1/4個はみじん切り、パプリカ1/2個またはピーマン1個は1cm角に切る。
②フライパンに油少々を熱し、鶏むね挽き肉200gと塩こしょう少々を入れて色が変わるまで炒める。
③玉ねぎとパプリカを入れて玉ねぎがしんなりとしたら、しょうゆ・酒各大さじ1と砂糖、オイスターソース各大さじ1/2、すりおろしにんにく小さじ1を入れて汁気がなくなるまで炒める。
④すべて炒まったら火を止めて大葉10枚をちぎりながら入れて軽く混ぜる。ご飯に盛って目玉焼きをのせて完成。
これからの時期は、仕事終わりのビールがより一層美味しく感じられる季節でもありますね。
しかし仕事終わりだからと言っても油断は禁物。肝機能の低下が夏バテの疲労感を助長させます。
「いつもより疲れている」「夏バテを感じている」
そんな時はレモンや梅干し、らっきょう漬けや酢の物などの、「肝」を補う酸味の食材も一緒に摂りましょう。
胃のむかつきを解消し、乳酸などの疲労物質を取り除いてくれるので、これからの猛暑にはピッタリです。
梅の故郷は中国ですが、梅干しは日本で考案された日本食。
昔から食べ物の毒・余分な水・古い血の「三毒を絶つ」といわれ、食欲不振の解消や、蒸し暑い夏季に起こりやすい食中毒の予防にも役立ちます。
夏のお弁当にも一役買う存在です。
バランスの良い食事と、一日ひと梅で今年の夏も元気に過ごしましょうね。
「東京薬膳研究所」代表。本場中国で薬膳を学び、帰国後は日本の気候風土に合った薬膳理論を研究。和食薬膳・食養研究の第一人者である。『食は薬なり』を全国へ広めるため、執筆活動のかたわら各地で講演を行い活躍中。著書に『決定版 和の薬膳食材手帖』『旬を食べる和食薬膳のすすめ』(すべて家の光協会)などがある。